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 倉敷に住む有志の声から誕生した映画『蔵のある街』(倉敷先行公開中/8月22日全国公開)で、映画初主演を務める俳優・山時聡真。

 公開初日まで全てが謎に包まれていた宮崎駿監督作『君たちはどう生きるか』(2023年)では、主人公に大抜擢。さらに、現在放送中のドラマ『ちはやふる-めぐり-』(日本テレビ系)では、かるた部員・与野役をコミカルに演じています。

 今年20歳を迎えて着実にキャリアを重ねる山時さんに、これまでの道のりを振り返って語っていただきました。


11歳で俳優デビュー。続けることは想像していなかった

――幼い頃の夢は?

 「仮面ライダー」のようなヒーローにも憧れましたし、5歳ぐらいのときからサッカーや空手をやっていたので、スポーツ選手にもなりたいと思っていました。そのときには既に事務所にスカウトにされていて、芸能の仕事を始めていたのですが、最初は“習い事”感覚でやっていて、大人になったら別のことをやりたいという気持ちでいました。

――2人のお姉さんと同時にスカウトされたそうですが、そのときのことは覚えていますか?

 姉と一緒に「君もレッスン受けてみない?」と、僕はおまけみたいな感じだったんです。ほとんどピンと来ていなかったのですが、芸能界がどこかキラキラした世界であることは分かっていて、「ひょっとしたら、仮面ライダーになれるかも!?」と勝手に想像していました。演技レッスンやモデルのウォーキングレッスンなどそれまでやったことないことができて楽しかったです。

――その後、11歳のときに映画『ゆずの葉ゆれて』(2016年)で俳優デビュー。印象に残っていることは?

 オール鹿児島ロケの映画で、俳優の松原智恵子さんや津川雅彦さんといった大先輩の方たちと共演しました。すごいセリフ量でしたし、鹿児島弁も喋らなければいけないし、本当に覚えることがたくさんありましたね。同行していた母親に、毎日3、4時間くらい付き添われながら、みっちり台本と向き合っていたので、「厳しい世界だな……」と実感しました。でも、クランクアップしたときの達成感もありましたし、スタッフさんと仲良くなれたり、とても充実した時間を過ごせたと思います。でも、しっかり“仕事”として捉え始めたのは、12歳のときなんです。

2025.08.22(金)
文=くれい 響
写真=平松市聖
ヘアメイク=髙橋幸一(Nestation)
スタイリング=西村咲喜