
ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピック開幕(2026年2月6日)まで、あと半年。この大会を国際オリンピック委員会(IOC)の第10代会長として迎えるのが、ジンバブエ共和国出身の競泳の金メダリスト、カースティ・コベントリーさん(41)さんだ。
131年の歴史を持つIOCで、女性の、そしてアフリカ出身の会長が誕生したのは初めてのこと。最後の五輪出場からわずか9年。2児の母でもある彼女は、なぜ子育てと華麗なるキャリアを両立できたのか? 本人に伺った。
5大会連続出場、アテネ&北京で背泳ぎ連覇の金メダリスト
「いつかオリンピックに出場して、ジンバブエに金メダルを持ち帰りたい」。カースティ・コベントリーさんが両親にそう宣言したのは9歳の時。バルセロナ大会(1992年)をテレビで観戦したのがきっかけだ。
少女の夢のような言葉が実現したのは、それからわずか8年後。高校生になった彼女はシドニー大会(2000年)でオリンピック初出場を果たし、以降16年のリオ大会まで、5大会連続出場を果たした。
コベントリー会長 「アスリートとしてのキャリアのなかで最も感動的な記憶は、女子200m背泳ぎで初めて金メダルを獲ったアテネ大会(04年)です。大会後、帰国すると何十万人もの人が私たちを空港で出迎えてくれ、『誇りを抱かせてくれてありがとう』と、口々に言ってくれたことをよく覚えています。
当時のジンバブエは国内の分断が激しい状況でした。それだけに、一人の女の子でもオリンピックでメダルを獲ることで、争いを超え、人々の気持ちを一つに出来るのだと、とても素晴らしい気持ちになりました」

アテネ大会では計3つのメダル(200m背泳ぎでの金のほか、100m背泳ぎで銀、200m個人メドレーで銅)を獲得。ジンバブエ出身の選手で個人初の金メダリストとなり、コベントリーさんは一躍、国の英雄となる。
続く北京大会(08年)では世界記録をたたき出し、200m背泳ぎを連覇。ほか3つの銀メダル(200m個人メドレー、400m個人メドレー、100m背泳ぎ)を獲得した。
2025.08.07(木)
文=長島恭子