この記事の連載
ズーラシア<前篇>
ズーラシア<後篇>

今年も猛暑が続きますが、暑さに負けずに元気な姿を見せてくれる動物の子どもたち。今回はよこはま動物園ズーラシア(以下、ズーラシア)へ、ホッキョクグマとフランソワルトンの親子に会いに行ってきました。
前篇となる今回は、5月14日から一般公開がスタートし、連日たくさんのお客さんに見守られながらすくすく成長する、ホッキョクグマの「ライ」とお母さんの「イッちゃん」のレポートです。
ズーラシアで生まれたホッキョクグマの赤ちゃん「ライ」

自然界だけではなく、国内の動物園でも減少の一途をたどっているホッキョクグマ。全国の動物園がタッグを組んで、繁殖に向けて真摯に取り組んでいる中、ズーラシアで昨年11月18日に赤ちゃんが誕生したという嬉しいニュースが飛び込んできました。
母親のイッちゃんは2013年、ロシアのノヴォシビルスク動物園生まれ、父親のゴーゴは2004年、ロシアのペルミ動物園生まれ。ともに大阪市天王寺動物園で繁殖の実績があり、ブリーディングローン(動物園などが、希少な動物の種の保存や繁殖を目的に、動物を貸し借りする契約)によってズーラシアに来園した個体です。

生まれた子どもは「ライ」(オス)と名付けられ、5月14日から一般公開がスタート。CREAWEBは7月上旬、ズーラシアへ向かい、ホッキョクグマの親子を取材しました(※観覧方法は取材時のものです。最新の観覧方法や観覧の注意事項は、公式HPをご確認ください)。
開園前にも関わらず、門の前にはすでにホッキョクグマの観覧へ向かうであろう来園者の列が。9時30分に開園すると、みなさんはその列を崩さずに園の中へと静かに進んでいきます。
取材陣もそのあとを追うと、ホッキョクグマの放飼場付近には列を整備するために設置されたチェーンのかかったポールがずらり。最後尾に並ぶと、誘導係のスタッフさんから「観覧できるのは3ヵ所で、ガラスビューの2ヵ所はそれぞれ1分、もう1ヵ所は30秒ずつで前後入れ替わってご覧ください」との説明がありました。

順番となって展示場へ入ると、目の前のガラスビュー前ではプールに入った親子の姿が早速飛び込んできました。涼むようにぷかぷかと浮かんでいるイッちゃんの近くで、活発に動き回るライ。公開された5月14日から比べると体もずいぶんと大きくなっていますが、母親に並ぶとまだまだ小さいことがよくわかります。

その後、陸上に上がったライは勢いよくプールにザブンと飛び込んだり、イッちゃんにじゃれついたり、とにかく元気いっぱい。気ままに遊ぶライを少し遠くから見守っていたイッちゃんですが、じゃれついてきたライをめがけて飛び込むような仕草を見せたりと、遊びに誘うのも上手。途中、ライがイタズラでもしたのか、首のあたりを噛んで近くに引き寄せる姿も。ライは嫌がりながらも、母との時間は楽しいようで、甘えるように何度も抱きついていました。
2025.08.09(土)
文=高本亜紀
写真=松本輝一