K5の第2章──兜町が紡ぐ、都市と文化の交差点

この施設の要となるのは、2020年2月にオープンした「HOTEL K5」。
ストックホルムを拠点に活動する建築・デザインスタジオCLAESSON KOIVISTO RUNE(クラーソン・コイヴィスト・ルーネ)が作り上げたのは、日本の伝統的な素材やプロポーションを取り入れながら、スカンジナビアの空気を感じさせる、研ぎ澄まされた空間です。

2階から4階にある全20室の客室は、壁を覆う柔らかな布や、曲線的に設計された家具など、ただ美しいだけではなく、“余白”を感じるデザインに。
自然光がやわらかく入り込む設計も相まって、東京にいることを忘れるような静寂が広がっています。

施設の世界観が最も表現された最上級スイート・K5 SUITE や、ホテルを代表するスタンダードなK5 ROOMなどを中心に、室内にはさまざま植物が配され、まるで“森”の中にいるよう。
家具やライティング、ベッドリネンに至るまで、すべてが緻密に選ばれ、完璧な空間を作り上げています。

この施設を語る上で欠かせないのが、「マイクロコンプレックス」というコンセプト。これは、大規模開発によるものでなく、より地域に寄り添い、有機的に繋がり成長する小規模な複合施設を指し、地域を活性化させるための新しい取り組みとして注目されています。

単なる「リノベーション」ではなく、歴史にあらたな文脈を織り込むように、「K5」は兜町という土地の記憶を未来へと繋ぎます。
一度訪れたら、ホテルやレストラン、バー、ショップ……どの空間も、“宿泊客のためだけの施設”という枠にとらわれることなく、街の人々と旅人が交差する場であることを感じられるはず。
泊まるためだけでなく、「余白を感じる」ために、訪れたい場所です。
HOTEL K5(ホテル・ケーファイブ)
所在地 東京都中央区日本橋兜町3-5
電話番号 03-5962-3485
チェックイン15:00~/チェックアウト~11:00
全20室(Studio, Loft, K5 Room, K5 Suite)
料金 1泊1室 30,000円~(税込・朝食別)
アクセス 東京メトロ日比谷線「茅場町」駅 D11出口より徒歩約3分ほか
https://k5-tokyo.com/

2025.08.02(土)
文=CREA編集部
写真=佐藤 亘
写真提供=HOTEL K5