大須賀アツシを媒介にした、ストリートアートと小説という異なる表現形式の出会い。それは日本語の「かく」という言葉に特有の多義性がもたらす、ひとつの必然ではないか。その必然性は、水平と垂直に立体交差する文字列のシンクロを頂点に、『イッツ・ダ・ボム』をすみずみまで満たすことで、この稀有なライティング作品に代替できない強度を与えている。

大山エンリコイサム(おおやま・えんりこいさむ)
 美術家。1983年東京都生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修了。ストリートアートの一領域であるエアロゾル・ライティングのヴィジュアルを再解釈したモティーフ「クイックターン・ストラクチャー」を起点にメディアを横断する表現を展開。主な著作に『アゲインスト・リテラシー』『ストリートアートの素顔』『ストリートの美術』『エアロゾルの意味論』などがある。

イッツ・ダ・ボム

定価 1,650円(税込)
文藝春秋
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2024.10.04(金)
文=大山エンリコイサム