カジュアルな普段着だと失礼に当たるような、格式高いパーティや会合では、少し上品で清楚なファッションが求められます。

 しかし、多くの女性たちはそんな時にどんなコーディネートをしていけばいいのか、つい悩んで時間を費やしてしまう経験を持っているはずです。

 そんな機会が巡ってきた時、ぜひ思い出してほしいのが、セミフォーマルなファッションを着こなし、公務に出席される女性皇族方の装いです。

 近年、女性皇族方のファッションにも、さまざまな変化が訪れているように思います。
皇后雅子さまと皇嗣妃紀子さま、そして若い世代の佳子さまと愛子さま。実はそれぞれの方の個性には大きな違いがあるのです。


皇后雅子さま—“エレガントでありながらアクティブ”

 雅子さまの装いを見ていくと、これまでの皇后陛下にはなかった特徴があることが分かります。

 それは、パンツスタイルです。

 2023年9月、四大行幸啓のひとつ「全国豊かな海づくり大会」に出席するため、陛下とともに北海道を訪れた時、雅子さまはパンツスタイルのスーツで釧路空港に到着されました。

 上品なベージュピンクの上下にバッグも色を合わせられ、エレガントな装いの中に、どこかアグレッシブさを漂わせていました。

 振り返れば、雅子さまがお出ましになる際、パンツスタイルが割と多いにようにお見受けします。

 なぜ雅子さまはパンツスタイルを選んでいらっしゃるのでしょうか?

 それは公務の行く先々で、出会った人々と丁寧に交流したいという思いからなのでしょう。また、膝を屈してできるだけ近い距離でお話をされたり、また立ったり座ったり動きの多い場面にも遭遇します。そんな時、パンツスタイルの方が動きやすく、臨機応変に対応できるメリットがあります。

 つまり、雅子さまのパンツスタイルは、公務においてできるだけ多くの人々と、少しでも長く触れ合おうとする思いが反映されているのではないかと拝察します。

 しかし、雅子さまは機能的なメリットだけを、ファッションに求めているのではありません。

2024.10.04(金)
文=つげのり子