仲睦まじく養蚕に臨まれる天皇ご一家

 7月23日、雅子皇后陛下は皇居内の紅葉山御養蚕所で「御養蚕納(ごようさんおさめ)の儀」に臨まれた。儀式では、日本の古来種「小石丸(こいしまる)」などの生糸の束を神前に供えて祈りを捧げられ、今年の養蚕を無事に終えられることに感謝された。

 その日の午後、天皇陛下と愛子内親王殿下もご一緒に「天蚕(てんさん)」と「収繭(しゅうけん)」を手伝われた。

 愛子さまは、今年の天候の大きな変化に、蚕(かいこ)が順調に生育されるか心配されていたというが、良好だったことを確認なさると安心されていたという。

「収繭」は、蚕が繭を作る足場となる「蔟(まぶし)」から繭を取り出す作業の事。ご一家は手を動かされながら仲睦まじく蚕について語り合われていたそうだ。

 天皇ご一家が3人で「繭掻き」や、蚕に桑の葉を与える「御給桑(ごきゅうそう)」に臨まれるようになったのは、2022年からだった。「陛下が養蚕の歴史にご関心が高く、ご家族で作業なさることを自然と楽しまれていらっしゃる」と宮内庁職は、その理由を語る。 

幼いころから生き物が好きだった雅子さま

 養蚕作業は、歴代の皇后が引き継いできたもので、雅子さまも皇后となられた後の2020年から携わってきた。皇太子妃時代には「虫嫌い。皇后として養蚕を継いでいけるのか」といった根拠のない批判もあったが、雅子さまは養蚕をしっかりと引き継がれている。素手で蚕を触られることもあるという。
 
 雅子さまは幼い頃から生き物が好きだった。幼い頃、ご実家で飼っていたハツカネズミが増え過ぎてしまい、保健所を呼んだこともあった。家に飛んできたカブトムシやクワガタを飼ったことも良い思い出だといわれた。

2024.08.02(金)
文=友納尚子