皇嗣妃紀子さま—“美智子さまをお手本に”

 紀子さまが秋篠宮さまのもとに嫁がれた日の朝、まだ大学生のような初々しさを残す、清楚なピンクのワンピースがお似合いでした。

 その後、眞子さん、佳子さまを出産して母となった頃から、フェミニンでありながら落ち着いた色味のファッションを好まれるようになっていきました。

 いわば皇室はこうあるべきというような、派手過ぎず地味すぎない、伝統的な女性皇族の装いを求められていたのだと思います。

 実は紀子さまには、お手本とされている方がいらっしゃるように思います。それは上皇后・美智子さまなのではないだろうかと。

 美智子さまは公務の意味合いをよく理解され、国際親善の場では、相手国の国旗の色をさりげなく装いの中に取り入れて、敬意を示されていました。

 また季節に応じて春は淡いパステルカラーを取り入れたり、秋は紅葉を思わせる味わい深い色合いをお召しになったり、美智子さまの繊細な工夫を凝らしたコーディネートを、紀子さまは意識していらっしゃるように感じます。

 紀子さまが公務に出席された時の装いに多く見られる、柔らかい印象を醸し出す丸い襟元、ウエストを絞ったデザイン、控えめながら奥行きのある色合いは、美智子さま同様の静かな気品を漂わせています。

2024.10.04(金)
文=つげのり子