外国人技能実習制度という題材を切れ味いいミステリーに仕上げた第二編「神様のポケット」、マコトの仲間で北東京一のハッカー・ゼロワンが恋に落ちる顛末を描いた第三編「魂マッチング」。最終第四編「ペットショップ無惨」では、ペット産業の闇をとことん掘り進めていく。もしもノンフィクションであればうっとなり読み進めるのをためらったかもしれないが、それまでの三編で確立された、目を背けたくなるような現実もありのまま受け止めようとするマコトという語り手への信頼感があるからこそ、躊躇せず読み進めることができる。客観的に考えてみても、「最初の一冊」としてオススメの一冊と言える。
シリーズは現在、『神の呪われた子 池袋ウエストゲートパークXIX』まで刊行済みで、第二十巻の単行本が間もなく刊行予定と聞く。この社会は今どうなっているのかを、マコトの視点と物語を通して察知したい。そして、放っておけば憂鬱に満たされるこの世界で、言葉は無力ではないということ、人と人は繋がることができるのだということを腹の底に叩き込むために、これからもこのシリーズを読み続けたい。
ペットショップ無惨 池袋ウエストゲートパークXVIII(文春文庫 い 47-28)
定価 803円(税込)
文藝春秋
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2024.09.19(木)
文=吉田 大助(書評家・ライター)