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 映画『夏目アラタの結婚』に主演し、収監中の殺人犯と婚約する児童相談員を演じている柳楽優弥さん。堤幸彦監督とは約18年ぶりのタッグであり、改めてこれからも堤さんと仕事をたくさんしていきたいと感じたという。監督と一緒に韓国の映画祭に参加したこと、2人でどんな話をしていたのか。またこれからやっていきたいという意外な夢のこと、そしてこれからの目標について、楽しそうに語ってくれた。

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約18年ぶり、2度目のタッグで堤監督との信頼が深まった

――映画を実際にご覧になった時、撮影時と印象が変わった部分はありましたか?

やっぱり堤監督は音楽の使い方が素晴らしいですよね。(オリヴィア・ロドリゴが歌う)主題歌「ヴァンパイア」も良くて、観ていて気持ちが引き込まれる感覚がありました。

――堤幸彦監督と撮影現場でお話ししたことについて教えてください。

 堤監督はとても具体的な演出をしてくれました。例えば「目を少し大きく開けて」や「片眉を上げて」といった細かい表情のことや、「手はこの位置に」といったことです。演技というよりも見え方、シーンの始まりや終わりで、前後のシーンにつながる部分を大切にする演出が印象的でした。

――堤監督作品はインパクトのある映像で訴えかける、“画(え)づくり”も魅力のひとつです。そうした演出によって作り込まれているのですね。柳楽さんがアラタ役を演じたことについて堤監督は、「巻き込まれながらも目覚めた心情、それへの葛藤や裏腹な切なさを演じ切るという難役をきっちりこなしてくれました」とコメントされています。

 監督にそう言ってもらえるのは本当に嬉しいですね。この映画では自分で大げさなことをしているというより、真珠という人物へのリアクションに徹することで自然に演じようと思っていました。

――柳楽さんは、堤監督とは2007年の映画『包帯クラブ』で17歳の時に主演して以来、約17年ぶりのタッグです。久しぶりに堤監督と仕事をして、手応えはいかがでしたか。

 作品に向き合う時はいつも自分の中で、いい作品にしたい、いい表現ができたらと考えて現場に行くので、そういう意味で大きく変わった点はないです。堤監督とは10代の時にも一緒に仕事をした経験から、信頼関係がさらに深まったと感じました。僕、堤さんのことが監督としてはもちろん、普段の人柄も好きなんですよ。だからまた堤さんと一緒に仕事ができることがとても楽しみだったし、現場でも喜びを感じました。

――堤監督のどのようなところがお好きなのでしょうか。

 面白いです。とにかく話が面白いんですよ。先日、韓国に一緒に行った時もずっと笑っていました。監督はニューヨークに住んでいた時期があって、僕もニューヨークが好きなので、その頃の話を聞くのも楽しかったです。知識が豊富で話が面白い。

――柳楽さんも2019年にニューヨークに語学留学をされていましたよね。韓国では、『夏目アラタの結婚』が第28回プチョン国際ファンタスティック映画祭で上映され、レッドカーペットに参加された時の特別映像が、映画の公式HPでも公開されています。堤監督とこれからも仕事をしていけたらとお考えですか?

 はい、機会があればぜひまた一緒に仕事をしたいですね。堤さんとなら映画やドラマ、舞台など、なんでもやってみたいです。

2024.09.16(月)
文=あつた美希
撮影=深野未季