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 評判になったドラマ『アンメットーある脳外科医の日記―』の星前先生役が記憶に新しい千葉雄大さん。『世界は笑う』や『ジャズ大名』など、話題の舞台でも新たな存在感を放っていた。9月には、今年主宰する劇団iaku『モモンバのくくり罠』で第27回鶴屋南北戯曲賞を受賞した横山拓也さん作、2018年に『チック』で第25回読売演劇大賞優秀演出家賞を受賞した小山ゆうなさん演出の舞台『ワタシタチはモノガタリ』に出演する。

 江口のりこさん演じる小説家志望の富子の書く小説の中の、理想化された彼氏・リヒト役。現実と虚構が交錯するファンタジックなラブ・コメディである。稽古が始まったばかりの千葉さんに意気込みを聞いた。


「30歳でひとりだったら結婚しよう」

――近年、コンスタントに舞台に出演されていますが、意識的にそうされているのですか?

 ここ5年くらいはそうですね。舞台のお仕事は映像よりもオファーをいただく時期が早いので、トロトロしてたら呼ばれなくなっちゃいますし(笑)。

――そんなことはないと思いますが(笑)、今回の『ワタシタチはモノガタリ』のオファーを受けてどう思われました?

 「イマジナリー彼氏」という面白い役回りをやらせていただくので、難しいところもあるでしょうが、作っていくのが楽しそうだなと思っています。

――今回は横山拓也さんの書き下ろしです。横山さんの舞台はご覧になったことはありますか?

 先日、下北沢のザ・スズナリで『流れんな』を観ました。

――横山さんが主宰する劇団iakuの代表作ですね。あれは衝撃を受けました。

 すごかったですよね。どう思いました?

――40代の独身女性の個人的な悲哀の物語かと思ったら、そこから家族のトラウマや地域と企業の問題、社会の問題も引き出されて、2時間弱でこんなに重層的な物語を描けるのかと圧倒されました。

 僕は、みんな幸せになるなんて無理なのかもしれないと思っちゃいました。好き勝手言う次女にずっとイライラして。「自分の都合だけじゃん。もう入ってこないで!」と途中、本当に言いたくなる瞬間が(笑)。グッと堪えました。最終的には「わかるよ……」と思いましたけど。

――それだけ没入させられた舞台ということですよね。今回の『ワタシタチはモノガタリ』はコメディ方向に振れていますが、脚本を読まれていかがですか?

 このホンにも世の中のいろいろなテーマが詰まっていましたね。実は僕も「30歳になって、お互いひとりだったら結婚しようね」と言ったことがあるんですよ。

2024.09.07(土)
文=黒瀬朋子
撮影=榎本麻美
スタイリスト=寒河江健(Emina)
ヘアメイク=堤紗也香