実のところ、これだって、普遍的な真理である保証はどこにもありません。実際、マーガリンに再評価の声もあがっています。いずれにしても理屈は変わります。

 その一例として、「肥満パラドックス」と呼ばれるものがあります。太ることはあれほど悪いことだと言われていたのに、疫学データから見ると、「太めの人のほうが長生きしている」傾向が顕著にあるのです。

「閉塞性動脈硬化症」は足に血が行かなくなってしまう病気で、余計に悪くなるから太っちゃダメと言われてきました。ところが調べてみると、瘦せている人のほうが早く悪くなるという研究結果も発表されています。

 このように常識とされてきた説でも、きちんと調べ直してみると違っていたということが意外に起きるものなのです。

 以下の章で、そうした理屈と現実の逆転について細かく検証していきたいと思います。流通している理屈や常識がいかに危ういものかを知って、驚かれることでしょう。

 それらが次々と明らかになることによって、老後がますます楽しくなります。そして最終章では、いよいよ、齢を取れば取るほど幸せになることがご理解いただけることと思います。つまり、老いるが勝ちです。

《プロローグが教える生き方のヒント》

◎八〇歳を過ぎたら我慢しない。ガンにならないように我慢していた、食べ物、お酒、タバコはもう控えたりしなくてもいい。

◎長生きしたいのなら、医者の話を聞くよりも、実際に長生きしている人に話を聞いたほうがいい。

◎理屈というものは常に変わる。


「プロローグ」より

老いるが勝ち!(文春新書)

定価 990円(税込)
文藝春秋
» この書籍を購入する(Amazonへリンク)

2024.09.04(水)