杉咲花さんの相手役で「このままではダメだ!」

――これまでに出演された作品で、ご自身に大きな影響を受けたと思う作品があれば教えてください。

 ひとつに絞るのは難しいですが、強いて言うなら、僕が俳優になって2年目くらいに出演したNHKの朝ドラ『とと姉ちゃん』です。杉咲花さんの相手役を演じさせていただいたんですが、何も出来なかったことを記憶しています。このままではダメだと思い、勉強しなければ! と思ったきっかけになりました。

 現場に入るまで、どうやってフラットでいられるかとか、緊張しないようにどうするかとか、自分の気持ちのあり方を見直して演じました。だから、今でも思い出す自分にとって大きな作品です。

――YouTubeチャンネル「上杉柊平3rdPlace」ではご自宅のリノベーションを披露されていますが、今のお住まいはご自身の理想に叶った空間なのでしょうか?

 まだゴールには達していないですね。僕の理想は一軒家。テイストは今と近いと思いますが、ミッドセンチュリーテイストにスペインやアフリカ、ヨーロッパのテイストを混ぜたような家を作りたいです。

 住環境を整えることは、僕の人生において必要事項なので、今住んでいる家でできることをやっていますが、本当の理想を追求するのはまだ先のことですね。好きな家具に囲まれて、自分の好きな空間で過ごすことで、ほかの何かをする準備ができるので、自分のスキルを蓄える空間でもあると思います。

――家で過ごすおひとりの時間も大切にされていると思いますが、人との関わりを通して自分の世界が広がったというご経験はありますか?

 自分の世界を広げるのは、他者という存在を通してしかできないことかもしれないです。自分の世界を深掘りすることは一人でもできますが、広げるとなると別の視点が必要で、僕にとってそれは友だちの影響が多いです。

 年々、新しい友だちは増えなくなっていますが、10代、20代でキツいことを一緒に経験した奴らは、信頼できますね。学生時代に同じ環境にいた仲間たちが僕のまわりにはたくさんいて、その中で好きだと思える人たちが今もずっと側にいてくれます。今も会うことが多いのは、10代の頃からの友だちばっかり。集まると何をするわけでもないですが、ただ帰りたくなくて、朝まで一緒にいることもあります(笑)。

――これから先のキャリアで目指していることはありますか?

 自分一人だと先々のことを考えるのは無理なので、俳優としてどういう方向に進んでいくのかをマネージャーさんとシェアしていこうと思って、1、2年先くらいのことまでは決めています。まだ先のこと、自分が50歳になったときにどうなのかということは全然考えてもいません。

 プライベートではイギリスに住んで、ヨーロッパ圏のスペインやモロッコ、アフリカにも行ってみたいです。日本とイギリスの二拠点で活動するのは理想ではあります。半年は日本で働いて、半年はイギリスで別の仕事をする。カフェでバイトするのでも良いと思います。イギリスで自分のやってみたい生活ができたらいいですね。

上杉柊平(うえすぎ・しゅうへい)

1992年、東京都出身。2015年にドラマ『ホテルコンシェルジュ』でデビュー。その後、NHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』、映画『シン・仮面ライダー』、『幽☆遊☆白書』など数多くのドラマや映画に出演。公開中の映画『ディア・ファミリー』や『八犬伝』、現在放送中のドラマ「マル秘の密子さん」がある。

『七夕の国』

原作:岩明均「七夕の国」(小学館刊)
監督:瀧悠輔、佐野隆英、川井隼人
脚本:三好晶子、安里麻里、瀧悠輔 脚本協力:大江崇允
出演:細田佳央太、藤野涼子、上杉柊平、木竜麻生、鳴海唯、濱田龍臣、西畑澪花、深水元基、石田法嗣、朝比奈彩、伊武雅刀、三上博史、山田孝之

©2024岩明均/小学館/東映
原作:岩明均「七夕の国」(小学館刊)
ディズニープラス「スター」で独占配信中

あらすじ
ある日、ビルや人が、謎の“球体”にまるくエグられた――この怪事件の真相を追い、役に立たない“超能力”をもつ平凡な大学生ナン丸は閉鎖的なある町を訪れるが、そこで自分がこの町に先祖をもつ“球体を操る能力者”だと知る。町に隠された3つの謎〈季節はずれの七夕祭り 町民だけが見る悪夢 丸神一族の掟〉は何を意味するのか?さらに、巨大な球体を操る男が、ナン丸の運命を大きく狂わせ、すべての謎は一つの衝撃的な答えに導かれていく…。

2024.08.01(木)
文=山下シオン
写真=平松市聖
ヘア&メイク=kazuma kimura(skavgti)
スタイリング=RIKU OSHIMA