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 漫画家の伊藤理佐さんが家族との日常を綴った人気コミックエッセイ『おんなの窓』シリーズの最新刊『おんなの窓 わたし現在3K編(加齢・介護・韓国)』が発売されました。

 娘のあーこちゃんも無事中学生となり、育児も一段落と思いきや。物忘れに老眼にぎっくり腰、さらにはまさかの狭心症まで……。ジワジワとしのびよる加齢や介護の足音に動揺しつつ、「人生すべてネタ」精神で「韓国」をはじめさまざまな「好き」を全力で楽しみ、それについて家族でツッコみあう。伊藤さんの姿を見ていると、人生いろいろあるけど、おもしろがったもん勝ち! と思えてきます。最新刊からの読者もどんと受け止めてくれる、開きっぱなしの『おんなの窓』をのぞけば、日々をフルに楽しむためのヒントが見つかるはず。


「加齢」と「介護」と「韓国」の3K!

――『おんなの窓』は、伊藤さんが2004年から20年に渡って描き続けてきたコミックエッセイです。

 1年か2年で連載が終わるかな、ぐらいの気持ちで始めたものなので、まさかこんなに続くとは思ってもいませんでした。

――伊藤さん自身、20年の間に結婚して、娘さんが生まれて、育児も幼稚園、小学校、そして中学受験――と思いもよらない変化があり、それを漫画に描いてきたわけですが、今回の本はなんと「加齢」と「介護」と「韓国」の3K!

 いちおう「3高(高学歴・高収入・高身長が結婚相手に求める条件)」世代なので掛けてみました。今は「3C」って言うみたいですけどね。あ、3Cは付き合うとめんどくさい男で、クリエイター、カメラマン、カレーをスパイスから作る男だった(笑)。

――読者もそれこそ3高の時代から、伊藤さんの出産・育児を我が事のように見守ってきたわけで。現在3Kとは、時の流れを感じずにいられません。

 加齢に関しては30代の時も40代の時も常々感じていたんですが、50代は心臓とか目とかメインのやつに来るんですよ。私はもともと近眼なので昔は老眼がどういうことなのかわからなくて、みんな近眼用のメガネをかけたらいいじゃんと思ってたら、それともまた違う。道具がすごい増えて、どのメガネかけて何見たいんだかわからなくなって、見るのを諦めることもある。

 とにかく30代40代とはまた違う、新たな加齢の階段を登ってる――いや、降りてるのか? とにかく別のステージに入った感じですね。

50代になると起き上がれない

――(編集者)私も30代になって、朝起きた時に疲れが取れてないなと感じることが増えました。

 でも、ガバッと起きれるでしょ。50代になると起き上がれない。急に起きるとギックリ腰になるから、まずは足首を回して、横を向いてからそっと起き上がらないと無理なんですよ。

――加齢マウント出ました(笑)。

 加齢に関しては、みんな先輩風を吹かせたがるんですよね。こないだ年上のお姉様方からシンクロ――今はアーティスティックスイミングって言うんだよね――に誘われて、えー、足とか出せないから無理です!って言ったら、あなたまだ見られてるつもりなの?って言われた(笑)。

――加齢の階段も奥深いですね。最近、女優さんやモデルさんが更年期を語るなど加齢に関する情報が増えて、正しく知れば怖いものではないと思えてきました。

 まだまだ上があって、次は尿漏れらしいですよ。お姉様方は家見るだけで安心して漏れちゃうと言ってました(笑)。

2024.08.03(土)
文=井口啓子
撮影=佐藤 亘