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 ホラー映画『フンパヨン 呪物に隠れた闇』のPRで来日した、アップことプーンパット・イアン=サマン。東京大学と協力関係にある、タイの名門チュラロンコーン大学の博士課程に在籍中のインテリだが、気取らない人柄が印象に残るインタビューになった。(全2回の後編。前編を読む


この仕事をしてる時が1番幸せ

――大学生の頃から、演技のお仕事を始めていたんですか?

 はい。イギリスに留学したのは、演じる仕事を始めたばかりのころでした。演技をするようになったきっかけは、先輩から仕事を手伝ってくれと言われたことだったんです。最初は撮影の裏方の仕事の手伝いだったんですが、ちょっと出演することになって。だけど自分が本格的に役者になるとは思ってませんでした。

――そこから仕事として役者をやっていこうと決めた理由は?

 留学前にも少し演技をしていたので、ファンの方もいてくださったんですね。そして、イギリスから帰国後に、演技の仕事をいただくようになったんです。それで多くの役を演じているうちに、本当に役者の仕事が好きだな、 本格的にやりたいなと思うようになりました。この仕事をしてる時が1番幸せだと思いましたし、自分の演技で人を幸せに出来ることは素晴らしいなと思ったんです。

――国際関係を学んでいるアップさんが考える、異文化である日本と、自国であるタイの良さはそれぞれどこにあると思いますか?

 僕は今、日本語の勉強をしているのですが、日本語には丁寧語がありますよね。つまり日本は他人に敬意を払う文化があり、それはとても良いことだと思うんです。相手に敬意を払えば、こちらにも敬意を払ってもらえて、良い関係を築ける。敬意を払う、それが他人と一緒にうまくやっていくコツなんだと思います。そして、タイも日本と同じで他人に敬意を払うし、お互いを尊重する文化だなと気づいたんです。敬意と尊重を持てば、何事もうまく行くと思います。

――アップさんが日本語を勉強するきっかけを教えてください。

 実は10年ほど前に、少しだけ日本語を勉強したことがあったんです。その後中断してしまっていたんですが、去年日本に仕事で来る機会が何度もありました。そのとき、ファンミーティングで日本のファンの人と話したんですが、話していることは大体聞き取れるんだけれども、僕は答えられないし、こちらから話しかけることが出来ないのがとてももったいなく感じられて。だったら勉強し直して、今度こそ精一杯頑張ろうって思ったんです。

――やっぱり勉強がお好きなんですね!

 はい、大好きなんです。

2024.06.27(木)
文=石津文子
写真=志水隆