短期サイクルの衣替え

ゲスト用だった玄関クロークを利用して、「今旬」の服だけをセレクト。

 この新しい「着替え場」は限られた収納ですから、うまく活用するためにルールを設定。まずここ2週間くらいの間に着る定番もの、「今旬」のワードローブだけをおくこと。寝室のクローゼットは「次旬」コーナーにして、扉の右側から順に取り出しやすく服を並べておく。そうして2週間ごとに「次旬」服→「今旬」服へ、順繰りにワードローブを入れ替えていく、とザッとこんな感じです。

 つまり短期サイクルの衣替えです。実際やってみると少しずつだから負担に感じないし、むしろそろそろ空気が冷たくなってるから上着が必要になりそうだとか、季節の移り変わりに敏感になったみたい。

 靴とバッグまで身につけた状態で、鏡チェックできるので、コーディネートに迷う時間も短縮できて。なにより自然光に包まれて身繕いすると肌の色も明るく見えるからかしら、普段着でもウキウキ選べちゃう(笑)。おひさまの光は人の五感にすごくパワーを与えてくれるものなんですね。

靴もレギュラー3~4足くらいを定番のしまい場に置き、メンテナンスしながら履き替える。

 着替えの時間がとっても快適になって、なぜもっと早く収納を変えなかったのかしらと思ったけれど、「クローゼットは寝室にあるもの」「洋服ダンスは夫と一緒にするもの」という思いこみに縛られていたんでしょうね。「あたり前」収納から自由になって、風通しよくワードローブを入れ替えることで、おしゃれを楽しむ気持ちがずっと新鮮でいられる気がします。

石村由起子 (いしむら ゆきこ)
奈良在住。全国からファンが訪れるカフェギャラリー『くるみの木』と、ミシュラン一つ星のホテルレストラン『秋篠の森 「なず菜」』のオーナー。
暮らしを楽しむ祖母の知恵にくるまれて育ち、学生時代には染織を学び、民藝を入口に手仕事に精通。自らのショップで展開する、暮らしの道具のセレクト眼にもファンが多い。さらに近年は、生活プロデュースの視点での商品開発、街おこしプロジェクトなど幅広い分野からオファーが引きもきらない。著書に『私は夢中で夢をみた』(文藝春秋)、『奈良・秋篠の森「なず菜」のおいしい暮らしとレシピ』(集英社)など多数。HP 「くるみの木」 http://www.kuruminoki.co.jp

Column

石村由起子の暮らしの“ツカミドコロ”

石村由起子さんといえば、人気のクラフト作家や料理家、エッセイストなど生活美学のある人たちが一目おく、暮らし上手です。
祖母から受け継いだ知恵と礼節、愛するモノを捨てずに活かすワザ、「これだけは」と手をかけてきた習慣など、多忙な日々のなかでも心豊かに暮らすために石村さんが「大切にしてきた」視点とアイディアを、CREA WEB読者に指南。年齢をこえて共感できるチャーミングな暮らし術を、プライベートフォトを添えて綴ります。

2014.03.17(月)
文・構成=おおいしれいこ
撮影=石村由起子