小さな草花、旬の果物を飾る

ビーカーや酒器など小さなガラス器にいろんな緑を小分けしてあしらい、トレイにセッティング。花器遣いは大げさにせず、ひと工夫があると楽しい。

 私にとって、緑と暮らしは切り離せないものです。春の朝、草取りついでに、愛らしいスミレを根っこから摘んでコップに活けてみる。夏はみずみずしいシダの葉を水たっぷりのピッチャーに浸してみる。小さな緑をそんなふうに飾っては、家の中に季節の巡りを取り込んで楽しんできました。

 食卓まわりやキッチンでは、秋のキノコや冬の柑橘など時季の果物や野菜を料理に使うまでのあいだ、せっかくだから器に盛り飾って、旬の食材の色形の美しさを目でも味わいます。それから果物は実を食べて残った種がよい状態だと育てたくなる性分。これまでもマンゴーやアボカドなどの種から発芽させ育てて、わが家で栽培しているグリーン鉢がたくさんあるんですよ。

ほわほわの綿毛や形がおもしろい実や種など、立体のままの形で愛でたいものを薬瓶の中へ収めて。湿気のあるものは乾燥させてから入れると安心。

 また目に見えないけれど意外と存在を放つのが、緑の香り。家にはその「家の匂い」がありますが、わが家を訪ねて来た知人や友人たちに「ユキコさんちのこの匂いって何? いつもいい香りがするね」とよく言われるのです。芳香剤もお香も使っていないので、匂いの心あたりは、家の中にちょこちょこ置いている季節の草花たち。水仙の花をどっさり活けたり、ミントやローズマリーなど香りのする緑を摘んできたら、わざとバッサバッサと揺らしながら歩いたり。ハーブの葉っぱを通りすがりに指できゅっとつねると(葉っぱよ、ゴメン!)、ほんわりいい匂いが漂ったり。家の空気に緑のアロマが混ざるようなことをしています。

料理に使ったアボカドの種を育てる。まず種は水に浸けてぬめりを取る。写真のように竹串や爪楊枝を3本挿して水耕栽培する。芽を出すまでは日陰、芽を出してから日当りのよい窓辺などに置くとよい。水を替え過ぎないこともポイントで、発芽しないのは世話の焼き過ぎのことが多い。

2014.07.03(木)
文・構成=おおいしれいこ
撮影=石村由起子