自然の姿をお手本に飾る
私は活け花を学んだことがないのであくまで自己流ですが、花あしらいのうまい叔母が“山にあるように、野にあるように”と言っていた教えを大事にしてきました。
緑の枝ものはうまく水揚げできれば10日でも1カ月でももってくれます。知らぬ間に枝葉が成長して「あらっ、蕾がついてる」なんて発見すると、何ともうれしい。仕事で失敗したときに枯れた枝から復活している新芽がついているのを見ると、「よし、私もガンバロウ!」と心励まされたりするのです。
飾った花器の置き場所についてですが、主張しすぎないことが大切です。生活の動線のじゃまにならないかどうか、家具や雑貨との相性なども考えたうえで、そこで過ごす人の心をなごませるよう、心地よい風景になるように置きます。
もちろん置かれる花や緑の側にとっても、「居心地よく過ごせる場」が原則。エアコンなどの空調の送風があたる場所はよくないし、急激な温度変化などストレスのある環境を与えると、人だって病気になるように、植物だって調子を崩します。気難しがり屋の植物だっているのですから、うまくいかないときだってあります。調子が悪いときは、水や日当りはどうだろう、って気持ちを傾けて眺め続けていると、わかることもありますよ。
Column
石村由起子の暮らしの“ツカミドコロ”
石村由起子さんといえば、人気のクラフト作家や料理家、エッセイストなど生活美学のある人たちが一目おく、暮らし上手です。
祖母から受け継いだ知恵と礼節、愛するモノを捨てずに活かすワザ、「これだけは」と手をかけてきた習慣など、多忙な日々のなかでも心豊かに暮らすために石村さんが「大切にしてきた」視点とアイディアを、CREA WEB読者に指南。年齢をこえて共感できるチャーミングな暮らし術を、プライベートフォトを添えて綴ります。
2014.07.03(木)
文・構成=おおいしれいこ
撮影=石村由起子