椅子や灯りの他に、くつろげる空間づくりに役立つのが「布」だと石村さんは語ります。つかい慣れていないと、なんだか難しそうと思ってしまいがちですが……。日々の暮らしを彩る布ものづかい、見れば納得の効果と、さすがの使いこなし術、見せていただきました。

自分らしさは布づかいでレッスン

同じテーブルでもクロスをかけ替えるだけで空間の印象が一変! 全体に布をかけず天板の一部分が見えていると、清々しくなります。テーブルセッティングで布の面積をアレンジしてみても。北欧のモダンな大柄の布もテーブルクロスなら抵抗なく使え、朝の食卓にぴったり。シックアン藍染めの布も洋食器にしっくりとなじむ。テクスチャーの豊かな手仕事の布は、使ってこそ魅力がわかる。

 私が暮らしに「布」を使うおもしろさを実感したのは、結婚後はじめてマンションを買って、あーもしたいこーもしたいと自分たちらしい生活空間づくりにわくわくしていたとき。家具はそうそう買い替えることができませんが、カーテンやテーブルクロスなんかの布アイテムなら、失敗しても取り替えればいいのでチャレンジができるのです。もともと針仕事が苦にならない方なので、季節や気分で「この夏のカーテンは青!」なんて自作しては模様替えをして、私なりの空間づくりを楽しんできました。

 このごろは新生活だけでなく時を経た生活空間こそ、布づかいの遊び心で暮らしの中に新鮮なリズムが生まれてるなと実感しています。

カーテンはほとんど自作。布端の処理が肝心で、きっちりミシンで縫って、カーテンクリップで吊すだけの簡単さ。サイズが足りないときは2枚の布を縫いつないだり、工夫も楽しい。簡単カーテンなので洗濯もしょっちゅうできて、気軽にチェンジできる。

 いま住んでいる一軒家はそろそろ築15年になるのですが、おしゃれと同じで年齢を経て、基本の好みは変わらないけれど微妙に感性は変化しています。たとえば色。白い漆喰壁に木をベースとした建物の色調に合わせ、うちの家具はアースカラーで、テーブルにクロスをかけるときはシックな布色を選んで空間になじませるのが定番でした。それが先日、気分転換にきれいな緑色のクロスをかけてみたら部屋が若返ったみたいで、ドキッとしました。自分のインテリアセンスを試すレッスンに、布ほど向いているものはないと思います。

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2014.05.26(月)
文・構成=おおいしれいこ
撮影=石村由起子