花崗岩の岩場、神秘的な朝もや…美しい野生を感じるドライブへ
ペブルビーチは、モントレー半島一帯のリゾートエリアかつ、地元コミュニティ。半島の海岸線に沿って、「17マイル・ドライブ」という幹線道路が走り、南北の入り口では通行料(12ドル)が徴収されます(ペブルビーチのレストラン利用者や宿泊者には払い戻しアリ)。
17マイル・ドライブは、その名の通り全長17マイル(約27キロ)。杉が縁取る、くねくねした道を車で走ると、木漏れ日の中、コーナーを曲がるたびに太平洋が見えたり、隠れたりします。強風によって押し曲げられた木立や、規則的なヒビが走る花崗岩の岩場、深い青をたたえた太平洋、朝もやが立ち込める日も珍しくなく、荒々しくも神秘的な野生を感じる風景です。
この道は自動車が登場する前、馬車の時代から風光明媚な景色が人々を惹きつけてきました。『宝島』の作者スティーヴンソンもこの界隈を歩きまわり、作品の構想を練ったとされます。
そしてペブルビーチを開発したサミュエル・モースもまた、この自然を愛し、開発においては環境保護を最優先事項にしたそうです。
中でもモースにとって特別な存在だったのが、「ローン・サイプレス」と名付けられた1本のモントレー・イトスギ。自生しているのはココとカーメル湾を挟んで対岸のポイント・ロボスの、世界でも2カ所だけだそうで、樹齢は少なくとも250年! 太平洋に突き出した岬にたくましく生えている孤高の木です。
モースは「このプロジェクトの基本は陸・緑・海。ローン・サイプレスはまさに完璧なシンボルだ」と、この杉をペブルビーチのロゴに採用。やがて全米で一番写真が撮られる木になったそうです。
2024.05.18(土)
文・撮影=古関千恵子