新生活を始めるの人へのプレゼントにも
――なるほど~。毎回、質問に応えてそれに合わせた料理をとなると、なかなかに大変そうですね。印象的だった質問はありますか?
みそ汁を上手に作るにはどうしたらいいか、とか、ポテトサラダがうまくいかない、食材を無駄なく使いたい、飽きない冷奴、鍋の季節に飽きさせないためには、天ぷらを上手に揚げるには? など、意外とみなさん特別なことをおっしゃるというよりは、定番ものをちゃんと作れるようになりたいという質問が多かったように思います。
あとは「飽きないように」という言葉も多いフレーズでした。それだけ家族のことを考えて毎日ごはん作りをしているということでしょうから、頭が下がりますよね。
――確かにそうですね。本の中で、「チャーハンがパラパラにできない」という話があり、飛田さんが「そこは目指さなくていい!」と言ってくださっていたのが印象的でした。
仕事柄、レシピを出すときは調味料や材料の分量を計りますが、実際、台所に立って日々のごはんを作るときはそうそうそんなこともしていられないというのが現実だと思うんです。
だから、そういう感覚についてのお話も書かせていただきました。もっと、ラフでいいというか、気持ちよく作るというか。そういうこと。
――キッチリしなくてもいいという話は、気持ちが楽になりました。飛田さん自身はこの本を作っていかがでしたか? また、これから台所仕事をしようと思っている新生活スタートの皆さんにも一言お願いします。
料理にまつわるお話と、それにまつわる料理という構成は、寝る前や、時間が空いたときにどこからでも好きなところから1話読める気軽さがあると仕事仲間からもうれしい感想をいただきました。それを読んで、あ、今日のごはんはこれにしようかなと思ったり、悩んでいた友達に教えてあげようといった感想もうれしかったです。
私自身、読者の皆さんからの質問にお答えすることで、いっしょに成長させていただいているというのが、一番の本音です。例えば、揚げ物もそうで、揚げ油の周りの泡が小さくなったら、とかよく言いますが、どれが小さいのか、大きいのか、初めてだったらわからないでしょう?
その目安をどうお伝えしたらいいのか? 毎回、完璧ではないけれど、そんなことにも悩みながら答えを考えています。いっしょに勉強している感じ。私にとってとてもありがたいお仕事なんです。
この本を読んで、新生活で少しでも料理を作ろうと思っていただけたらうれしいです。新たなスタートを切る友人や家族にプレゼントしたなんていうコメントもいただきました。ありがとうございます。この本が、台所仕事が楽しいものだと思っていただけるお手伝いになったら幸いです。
飛田和緒(ひだ・かずを)
料理家。東京都生まれ。神奈川県葉山で海と山に囲まれ、家族とともにのんびり暮らしている。地元の野菜や魚など、地域の産物と季節のものをこよなく愛し、おいしくいただくことに専念している。日々の暮らしが楽しくおいしくなる常備菜、保存食作りが得意。ライフワークともいえるみそ作りは年々熱が入っている。主な著書に『みその本』(KADOKAWA)、『ごはんできたよ!今日、何作ろう!?何食べる!?ある日の献立、つまみとおかずとごちそう、〆も一五〇品』(朝日新聞出版)、『お餅の便利帖』(東京書籍)などがある。
台所の相談室
定価 1,870円(税込)
KADOKAWA
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2024.04.24(水)
文=赤澤かおり
撮影=榎本麻美