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プレッシャーに打ち勝つために、もうひとりの僕に叱咤してもらってます(笑)

――前篇では挑戦することが怖いというお話もされていましたよね。今回の舞台に限らず、新しい作品に入るときは、そういうプレッシャーや不安をどのように乗り越えていらっしゃるんですか?

 もうひとりの自分におしりを叩いてもらってます(笑)。リスクヘッジして不安を抱える自分とまずはとにかくやってみるかと割り切って考える自分。僕の中に二人の人格があるんです。ベースは臆病な自分なんですけど、乗り越えるべきものが出てきたときには“第二の自分”が出てきて「やろう!」「大丈夫!」と背中を押してくれるんです。役者としての仕事をはじめてから生まれた人格だと思います。プレッシャーや緊張に打ち勝つために自然とそうなっていきましたね。

――CREA WEB では現在「整える」特集を実施しています。西野さんは作品の本番前、気持ちを整えるために意識していること、やっていることはありますか?

 今の舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』で言うと、毎日決まったものを食べるようにしています。毎朝コンビニでツナマヨネーズのおにぎりと、シャケのおにぎりと、カットパイナップルを買うんです。その3点セットを食べると、体が「よし、本番だ」と準備万端になるというか(笑)。もはやルーティンになっています。

 舞台を始めた頃は、自分の整え方やメンテナンスの仕方が全然わからなくて喉を壊したり、ということもあって。その都度先輩にひとつずつ対処法を聞いたり、あらゆる手段を試して、今、自分に合ったものを実践しています。ちなみに、公演終わりにはアイスバスにバッと入って全部“整えて”から家に帰る、というのもルーティンのひとつになりました。

――アイスバスはアーティストの方からもよく伺います、やはりリセットになるんですね!

 そうなんです。舞台が終わって気分が高まったままだと、家に着いた瞬間にその反動がきてしまうんです。

 他にも喉のケアだと、トラネキサム酸と漢方、最近はアミノ酸も追加して毎日飲んでいます。声帯も筋肉なので、使った筋肉の回復を早めるそうなんです。飲むようになってから、だいぶ回復も早くなりました。最近は吸入器も使ったりしています。発声自体も、無理をして声を出さない仕方も教わって、徐々にできるようになりました。そういうそもそも疲労や負担を貯めないテクニックや手法もケアのひとつかな。

2024.03.30(土)
取材、文=赤山恭子
写真=鈴木七絵
ヘアメイク=赤塚修二
スタイリスト=永田哲也