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 ロングラン公演中の舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』スコーピウス・マルフォイ役で注目を集めている、俳優の西野 遼さん。

 インタビュー前篇では本舞台に臨む心境や裏話まで存分に語ってもらった。後篇では西野さん自身に、よりフューチャー。これからどんな俳優になっていきたいか、西野さんが今心を奪われているもの・ことなど、多岐にわたり答えてもらった。

市井の人物を演じることに、今はすごく興味を持っている

――西野さんご自身についてさらに教えてください。今後、俳優としてこうなっていきたい、という具体的な目標や像はありますか?

 目標にしている俳優さんが妻夫木聡さんなんです。妻夫木さんの映像作品を観ていると、ものすごくナチュラルなお芝居をされているだけでなく、ご本人の中から滲み出ているものがそのまま役に乗って、迫力やオーラを加えているように感じて。役の説得力というんですかね。いずれはああなりたいなと思いますね。

――演じたいと思う役どころについても、ナチュラルな人物像ですか?

 「ザ・主人公」というような大それたキャラクターより、現実社会で普通にそのあたりにいそうな学生、社会人を演じてみたいです。いわゆる市井の人物を演じることに、今はすごく興味を持っています。そういう役を妻夫木さんが演じると、等身大の人間が鮮やかに浮かび上がる。目標にさせてもらっています。

――「この人の演出する作品に出たい」と熱望する監督はいますか?

 李 相日監督の作品が大好きなんです! 『悪人』、『怒り』、『流浪の月』…どの作品も好きですし、監督が描く作品に出演してみたいです。監督に自分も知らない自分を引き出していただきたいです。ご一緒できるなんて夢のまた夢のようなお話ですけど、「いつかの機会」がくるように、これからも頑張りたいと思います。

――今取り組まれている舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』での経験は、これからのすべての役に生きてきそうですよね。

 これを乗り越えたらなんでもできるような気がしています(笑)。でも、経験を糧にしたいと思う一方で、何というか、どこか怖い気持ちもあるんです。今はひとつの役を深め続けている状態なんです。スコーピウスと向き合うしかないので、自分の現在地がよくわからなくなるときがあって。いざこれが終わって次の役柄と向き合うとき、「できるのだろうか?」という気持ちもたまにのぞいたりします。

 きっと俳優業はそういう挑戦の連続なんでしょうね。今回の舞台が終わったら、また次に新たな課題がいっぱい出てくる。

2024.03.30(土)
取材、文=赤山恭子
写真=鈴木七絵
ヘアメイク=赤塚修二
スタイリスト=永田哲也