村を訪問するときには酋長に贈りものを渡すのがマナー

 ティオの町からクルマで数分走り、このあたり随一の美しさと評判のモアラビーチへ。

 サンゴの塊が転がっているビーチを、背の高いヤシの木が縁取り、その背後にはマンゴーやジャックフルーツなどの木々が茂っています。日よけになる小屋もあり、地元の人もピクニックなどに訪れているようです。とはいえ、やはり混雑とは無縁そう。この静かなビーチにはジュゴンも遊びにやってくるそうです。

 モアラビーチを後にして、海岸線をなぞるようにドライブ。道の左側には紺碧の南太平洋がキラキラと輝いています。欄干のない橋やガードレールのない断崖など、アドベンチャーな場所を乗り越えつつ、走ること約30分。美しい湾に面した先住民カナックのポートブーケ族の村に到着。

 ニューカレドニアでは先住民のカナックの村を訪れる際、まずは酋長さんに挨拶をします。村の人々と訪問者が二手に分かれて向かいあい、真剣な表情で互いに接遇と訪問の口上をのべ、訪問者からは布やたばこなどの贈りもの(クチューム)を贈呈。この儀式を経て、ようやく村に迎えられるのです。

 村ではカナックの特別な日のごちそう、ブーニャがふるまわれました。これはバナナの葉にくるんだ魚や肉、タロイモやバナナ、野菜にココナッツミルクをかけ、焼けた石を敷いた土中に埋めて蒸し焼きにする料理。香ばしい匂いとホクホクとした食感、やさしいココナッツの味わいのシンプルな料理です。

2024.02.24(土)
文・撮影=古関千恵子