ダイバー憧れの海に面した、歴史ある都市「ジェッダ」
そして今、サウジアラビア第二の都市、紅海に面したジェッダにいます。
紅海は、世界でもトップ3に入るダイバー憧れの海。塩分濃度が高いせいか、海のブルーが他とはちょっと違い、水中写真を見ても、キンギョハナダイのオレンジ色が実にビビッド。潜ったことはないけれど、紅海の水中写真なら、大体わかります。
夜景が宝石を鏤めた花嫁のように見えることから“紅海の花嫁”と称されるジェッダ。その地名はアラビア語で祖母を意味する“ジャッダ”に由来するとか。なぜ“祖母”かというと、人類の祖母とされるアダムの妻イヴの墓がこの地にあると考えられているからだといいます。また“海辺”を意味する“ジュッダ”という名でも呼ばれているそう。
そんなジェッダはアフリカや欧州、アジアとの交易で栄え、イスラム教の聖地メッカの玄関口として1400年にわたり巡礼者を受け入れている港湾都市です。
港町特有のオープンな空気が流れ、日本でいえば大阪的、中国でいえば上海的な大らかさと感度の高さを感じます。
長きにわたる交易の歴史があることから、アル・バラド地区(世界遺産の旧市街)にはアフリカやアジアなど様々な国の文化がミックスされた歴史的な建物が400軒以上も集まっています。
中でもこの地域の特徴なのが、「ラワシン」という目隠し的役割の出窓。木でできており、きっちりとした格子と精緻な木彫りの美しさに目を奪われます。
このラワシンは建物を装飾するだけではなく、室内に差し込む直射日光や外からの視線は遮りつつ、風通しには優れるという便利なアイテムでもあります。
2023.12.02(土)
文・撮影=古関千恵子