作品ごとに何かしら成長の種があり、学びがある
――これまでの出演作の中で、大きく成長したきっかけとなった作品は?
一つを選ぶのは難しいですね。作品ごとに何かしら成長の種があり、学びがありますから。
例えば、『時速493kmの恋』では、肩の力を抜いて、感じるままに演技をする大切さを学びました。カメラの前で遊ぶ、という感じでしょうか。
『イルタ・スキャンダル』では、監督や共演者の方々とコミュニケーションをとればとるだけいいシーンが生まれることを知りましたし、監督のキャラクター分析方法を学ぶことで、よりキャラクターを多角的に観ることができるようになりました。
作品を重ねるごとに足りない部分を埋めていっている気持ちはしますが、まだまだ勉強すべきことは山積みです。よく「人生経験が演技に深みを与える」と言いますよね。僕はまだまだ若くて経験値も低いので、もっといろんな経験をして、俳優として成長したいです。
――今後配信されるドラマ『ヒエラルキー』では、ついに主演の座を射止めました。撮影はすでに終わっているそうですが、大役を終えた気持ちをお聞かせ下さい。
どんな配役でも責任感はつきものですが、“主役”のプレッシャーは、これまでの作品とは明らかに、その大きさが違いました。これまでと同じようなふるまいではいけない気がしたし、これまでの作品よりも念入りに準備しなければいけないような気もしたし、十分準備をしたと思っても撮影が終わると「もっと頑張れたかもしれない」という気持ちになったりもしたし。正直、撮影期間中は、メンタル的に辛くて、あまり眠れませんでした。
そんな時に支えになってくれたのは家族や友人、スタッフ、共演者の方々です。周りの方々のおかげで乗り越えられたんです。「僕は人に恵まれているなあ」と改めて感じましたし、それに気づけただけでもいい経験になったと思います。
僕の魅力は決めるときと“武装解除”したときのギャップ
――支えてくれる人が多いのは、チェミンさんの人柄のおかげではないでしょうか。ご自身が考える“俳優イ・チェミン”の魅力とは?
ええ? 僕が自分の口で言うんですか?(と大きく口を開けて笑う) ちょっと照れちゃうなあ。
あえていうなら、決めるときと“武装解除”したときのギャップかな。真顔だと少し近づきがたい雰囲気があると思うんですけど、こうやって実際話してみると、よくしゃべり、よく笑うでしょう?
いろんな顔を持っているのは、俳優として一つの魅力になると思います。あとは“適応力の高さ”。僕は自分から積極的にアドリブを出すタイプではありませんが、相手役のアドリブに合わせて柔軟に演技を変えていくのには自信があります。
2023.12.09(土)
文=酒井美絵子
撮影=榎本麻美
ヘアー=EZ
メイク=CHOI SEONHYE
スタイリスト=KWON EUN JUNG