この記事の連載
- 『私は元気です』#1
- 『私は元気です』#2
我が家で初めてのお墓づくり…もう何もしてあげられなくても、何かしてあげたい
お墓を作らなければなりません。我が家で、初めてのお墓です。墓地の区画はあります。墓石は隣町の石屋さんに注文するのだと教えてもらいました。
考えていたことがありました。棺の中で花に囲まれた妹を見た時に、花に囲まれた状態は慰められるなと思いました。見ているほうがです。もう何もしてあげられることがないなかで、何かしてあげたい気持ちをほんの少し叶えてくれるものでした。
私は昔から、お盆の時期のお墓が好きでした。ぼんぼりが灯って、どこのお墓にも綺麗な花が咲いていて、墓地全体が明るく見えます。シーズンオフはさびしい場所に見えました。花はみんな枯れてしまっているから。
だったら、お墓に花壇を作ろう。どんな季節でも花に囲まれるように。お墓の石段のどこか一部分に花が植えられる場所を作ろうと思いました。
晴れたその日、お墓が完成しました
石屋の主人にお願いしたら無理だと断られましたが、自作の設計図を出して粘るとしぶしぶ承諾してくれました。
晴れた日にお墓は完成しました。花を植えました。かわいらしい花壇です。
花に囲まれたお墓を見て、ほっとしました。お墓は残された人たちのためのものです。そこで想うことも祈ることもできる。
私は私の自己満足のために作りました。妹に何かしてあげたい気持ちをほんの少し満たすために、季節ごとに花の植え替えをします。
後日、石屋の主人にお礼を言われました。あのお墓のデザインは人気が出たのだそうです。似たような想いを抱えた人が多かったのかもしれません。
2023.12.02(土)
著者=後藤邑子