高野友美さん
家族:夫、友喜恵ちゃん(5歳)、進吾くん(3歳)
会社名:ハリウッドビューティサロン
URL http://www.hollywoodsalon.co.jp/
仕事内容:美容師、ディレクター
勤務体制:週休2日(不定休)
艶やかな黒髪のボブがよく似合う高野さんは、かれこれ20年、美容師として腕をみがいてきた。
第2子の育休復帰直後、2011年から店長となり、店全体のマネージメントも任されるようになった。信頼されて任されることに喜びも感じ、一生懸命働いた高野さんだったが、仕事と育児との両立はむずかしいものがあった。責任を全うしようとすれば帰宅時間は遅くなる。持ち帰り仕事も増える。晩御飯が手抜きになる。子どもが体調を崩しがちになる。休まざるを得ない。
2年近くはがんばったものの、「これはノーと言うべきときには言わないと自滅につながる」と感じ、2013年10月にマネージメントからは一旦降りることを決意。「活躍する場所はほかに必ずあるはず」と割り切った。
現在は、美容師としての業務をこなしつつ、ディレクターとして後輩の育成につとめている。子育てを通して「人は自分が思うように動かない」ことを痛感した今、後輩にかける言葉かけ一つも、違った言い方ができるようになった。
また高野さんは、乳がん患者など、脱毛に悩む女性のために医療用かつらを使って脱毛した髪を元の状態に「復元」する「再現美容師」としても活躍中。「復元」とは、元の髪型に近いかつらを作り、治療後に自毛が再生したときに、不自然なく自毛に切り替えができるようにすることだ。
これは、脱毛した女性の美容面でのサポートを続けるNPO法人日本ヘアエピテーゼ協会に関心を寄せたことがきっかけとなった。第2子の産後に会社に提案し、高野さんが中心となって会社をあげてNPOのサポートをしている。
まっすぐな長い髪だけが植えてあるウイッグから、その人に合う髪型をセットし、その人が以前と同じ生活ができるように再現する。人目を気にして殻に閉じこもる人が、髪を再現できたことで自分を取り戻し、積極的に治療にも取り組む姿に、とてもやりがいを感じている。と同時に、自分と同じ年代で、小さい子を持つママが患者であるケースも多く、胸が痛む。
「会社も女性が多いですし、人ごととは思えません」と高野さん。積極的にNPOの活動に参加、美容師としてのみならず、NPO会員として休みの日にも定例会などに出席したり、通勤電車でブログの更新などをし、社会貢献をしている。
そんな多忙な高野さんの、両立の秘訣はなんだろうか。
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2014.01.16(木)
text & photographs:HITOMINA