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調子の良さをあきらめない

 それでもマイナートラブルが続くとか、やっぱりピルはからだに合わないという方もいらっしゃいます。あるいは、ピルを飲んでいるのに、生理痛や生理前のイマイチさが改善されたと感じられないケースもあります。

 そのような場合は、そのピルを使うのをやめましょう、という判断をするでしょう。ただ、そのピルが合わなかったからといって、自分の調子の良さを手に入れることをあきらめなくてもいいのです。

 では、かわりにどんな方法があるかといえば、じつはひと口にピルといっても、いくつも種類があるんですよね。例えば、エストロゲン含有量がより少ないピル(超低用量ピル)を試してみるとか、エストロゲンと合わせるプロゲステロン(正確にはプロゲスチン=黄体ホルモン)の種類を変えたお薬にしてみるとか、ピル以外のホルモン治療、プロゲスチン製剤(エストロゲンが含まれていないホルモン製剤)に変更してみるという方法も挙げられます。

 また、月経困難症の原因が子宮内膜症や子宮筋腫といった疾患であるとはっきりしている場合は、手術という選択も視野に入ってきます。

 いずれの場合でも、ピルを安全に使い続けるためには、自分のからだの状態をよく観察しながら、婦人科の医師とよく相談することが必要です。

 ピルのリスクでもっとも重篤なものに、血栓症があります。例えば、片脚だけにギュッと握られたような痛みがある、ふくらはぎのあたりがうずくように痛む、といった症状は血栓症の疑いがあります。今まで経験したことのないような激しい頭痛や、胸を刺すような鋭い痛みなども、血栓症の症状によくみられるものです。こういった症状があらわれたら、すぐに医師に相談してください。

2023.10.12(木)
文=高尾美穂
構成=長瀬千雅
撮影=東川哲也(朝日新聞出版写真映像部)