この記事の連載

女性ホルモンをマネジメントする選択

 ピルは原則的に閉経を迎えるまで服用できますが、年齢が高くなると血栓症のリスクが高くなるため、特に40歳以上では注意が必要です。基礎疾患がないか、肥満や高血圧がないかなどで、リスクの評価は変わってきますが、ピルを服用しているあいだは定期的に受診をして、問題が生じていないかをチェックすることが大切です

 そのほかには、毎日決まった時間に服用しなければならないので、そのわずらわしさがデメリットになるかもしれません。

 経済的な負担も軽く見ることはできません。低用量ピルの値段は、本書を執筆している2023年8月時点で、保険診療で処方される場合は1シート(約1カ月分)500~2,350円程度です。そのほかにクリニックの診察代がかかります。

 デメリットをたくさん挙げたので心配になってしまったかもしれませんが、かかりつけの医師としっかりコミュニケーションをとり、メリットとデメリットを比較して、自分にとってプラスになるような選択をしたいものです。

 女性は一生を通じて女性ホルモンに大きく揺さぶられます。だからこそ、私たちのほうから、積極的に女性ホルモンをマネジメントするような選択ができないか考えていきたいものです。ピルについて正しく知ることは、その選択肢を一つ増やすことになりえるでしょう。

【後篇】に続く

娘と話す、からだ・こころ・性のこと

定価 1,760円(税込)
朝日新聞出版
» この書籍を購入する(Amazonへリンク)

次の話を読む娘に「もっとかわいく生んでほしかった」と言われたら…医師が語る 思春期の子どもと親の“距離感”

2023.10.12(木)
文=高尾美穂
構成=長瀬千雅
撮影=東川哲也(朝日新聞出版写真映像部)