1960年代、ロンドンはロックやファッションなどの新しいサブカルチャーの発信地として大きな注目を集めた。スウィンギング・ロンドンと呼ばれるこのムーヴメントを象徴する写真家がデヴィッド・ベイリーだ。ミック・ジャガーの親友で、カトリーヌ・ドヌーヴと結婚して離婚、有名モデルとの浮き名も多かったベイリーは、彼自身が時代の寵児のひとりだった。ミケランジェロ・アントニオーニ監督の『欲望』(1967)は60年代ロンドンの文化を背景にした映画として知られているが、主人公のカメラマンはベイリーがモデルだ。「ヴォーグ」誌などで活躍したベイリーの写真はコントラストの強いモノクロームのプリントが特徴的で、映画スターやミュージシャンなどを撮ったポートレイトは、あの時代のダイナミックな息吹を今に伝えている。
そのベイリーの大規模な個展が2月6日からロンドンのナショナル・ポートレイト・ギャラリーで開催される。展覧会のタイトルは「ベイリーのスターダスト」。250点以上のポートレイトはベイリー自身がセレクトしたもので、60年代から現代までを5つの時代に分けて展示する。被写体は、俳優、作家、政治家、ミュージシャン、映画監督、モデル、芸術家といったセレブリティだけではなく、彼が旅先で出会った名もない人々や原住民も数多く含まれている。60年代のセクションではファッション・ピープルやアーティストを撮ったアイコン的なイメージがオーストラリアやインドでの写真と併置。70年代のセクションではローリング・ストーンズやカトリーヌ・ドヌーヴが、パプア・ニューギニアでの探検旅行の記録と一緒に展示される。
2014.01.29(水)