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自分が清舟の生きざまに共感して感情移入しているものを届けたい
――葛藤とは、清舟を演じていく中でどう見せていくかを考えたり、悩んだということですか?
見せ方については監督さんやプロデューサーさんにお任せしているので、自分がやるべきことは「清舟」という人間の感情線を1本通すことかなと思っています。ドラマの魅力のひとつが、清舟の成長がきちんと描かれていることなので、例えば「いきなりこんなセリフを言っている」違和感がないか、不自然にならないかなどは考えています。
この作品には原作があり、原作だと人物を掘り下げてストーリーのディテールまできちんと描かれているけど、ドラマは尺も決まっていますし、夏という季節性もあり、原作の全部をそのまま網羅することはできないんです。だから、疑問が生まれたら疑問のまま放っておくのではなく、監督さんやプロデューサーさんとディスカッションして解決していくようにしています。意見交換も含めて、ものづくりをしている現場だなとすごく感じています。
――杉野さんが清舟について生半可な気持ちで向き合っていない表れでもあるお話ですよね。演じる責任と愛情があるから、意見交換の場が生まれるのかと思いました。
ありがとうございます。まだまだ演技については未知なことが多いんですけど、僕がその人(清舟)になるわけだから、当たり前だけど自分が一番その人を知っていなくちゃいけないと思っているんです。その中で疑問に思うこと、「これは?」と思うことが出てきたら、ひとつずつ解決して、自分が納得してやるのは当たり前なのかなと思っています。
特に今回、主演という立場でやらせていただいていますし、自分が清舟の生きざまに共感して感情移入しているものを、テレビの向こうの皆さんにお届けしたい。そんな気持ちで毎日撮影しています。
杉野遥亮(すぎの・ようすけ)
1995年9月18日生まれ、千葉県出身。2017年公開映画『キセキ―あの日のソビト―』で俳優デビューしたのち、さまざまなドラマや映画で活躍。近年の主な出演作に、映画『やがて海へと届く』、『バイオレンスアクション』、ドラマ「僕の姉ちゃん」、「ユニコーンに乗って」「罠の戦争」などがある。2023年大河ドラマ「どうする家康」では、榊原康政を演じている。
2023.09.13(水)
文=赤山恭子
撮影=山元茂樹