「忙しいビジネスパーソンが、仕事や自己啓発に利用するもの」というイメージが強かったオーディオブックサービス。いま、30~40代の子育て世代女性の利用が増えているという。
「人の声」での収録が特徴のAmazonオーディブル(以降、Audible)は、そのひとつであり、いつでもどこでも気軽に音声でコンテンツを楽しむことができる、世界最大級のオーディオエンターテインメントサービスだ。
なぜAudibleは女性に人気なのか。“声”の専門家で、長年「朗読」をライフワークとしてきたフリーアナウンサーの堀井美香さんに、「人の声」で聴く読書の魅力を聞いた。
Amazonオーディブル(Audible)とは
プロのナレーターが朗読した本をアプリで聴けるサービス。月額1,500円で、小説、エンタメ、ビジネス、ポッドキャストなど12万以上の対象作品が聴き放題で楽しめる。移動中や作業中など、いつでもどこでも読書ができ、オフライン再生も可能。在宅勤務などの近年のライフスタイルの変化もあり、性別や年齢を問わず、幅広く利用されている。最近は特に家事や育児に忙しい女性利用者の入会が増え、注目が高まっている。
小田急線でパリの街角にいる気分に
──堀井さんはお忙しい毎日のなかで、Audibleをどのように活用しているのですか?
堀井美香さん(以下、堀井) 移動中やちょっとしたすき間時間などに、気分に合わせて楽しんでいます。一時期ハマっていたのは、『大西洋』というポッドキャスト番組です。スタジオでつくられた人工音ではなく、実際に初秋のケープコッドで自然音を集めたもので、砂浜に打ち寄せる波のうねりや、砂丘にいるコオロギの鳴き声が聞こえるんです。だから聴いているうちに自分が本当に大自然のなかにいるような気がしてきて。よく、「私はいま、ケープコッドの海岸にいる……」と妄想しながら小田急線に乗っていました(笑)。
あとは、森本哲郎さんの『ぼくの旅の手帖~または珈琲のある風景シリーズ』も一時期よく聴いていました。パリでコーヒーを飲んだ話なんかが、街の様子とともに読まれていて。聴いていると自分もパリの街角にいるような気分になりました。小田急線の中ですけど(笑)。
──Audibleは小説やビジネス書はもちろん、ポッドキャスト番組などもたくさんあるのですね。
堀井 私もAudibleを利用するまでは、オーディオブックサービスに対して、「ビジネス書に特化していて読みたいものが少ない」とか、「ちょっと古い小説しかない」というイメージが強くありました。でもAudibleは、ジャンルも対象年齢も本当に幅広いので、「これちょっと聴いてみようかな」と思うタイトルがだいたい揃っているように思います。
聴き放題なので、ちょっと試しに聴いてダメだったら他のタイトルに……、という贅沢な使い方ができるのもいいんですよね。
2023.09.15(金)
文=相澤洋美
写真=佐藤 亘