昔挫折した文豪の大作に挑戦
──確かにそう考えると、お得ですね。聴き放題ならではの、おすすめの使い方はありますか?
堀井 昔挫折した文豪の大作に挑戦するのもよいかもしれませんよね。
たとえば、ドストエフスキーの『罪と罰』とかね。面白いけれど長すぎて挫折した、という方っていると思うのです。そんな小説こそ、自分の大好きな俳優や声優の声で聴いたら、最後まで聴けちゃうのではないでしょうか。
それと、Audibleは再生速度を変えて聴くこともできるので、ざっと内容を把握したい時にも便利だと思います。私も仕事に必要な資料を倍速で聴いたりしますが、ビジネス書って、ちょっと賢くなった気がしますよね。我が家は町田なので、都心までだいたい片道1時間くらいかかるんですが、目的地までの往復の電車内でビジネス書をほぼ一冊聴き終えられるので、ちょっとした頭のトレーニングにもなります。
「情報は紙から取りたい」という方もいらっしゃると思いますが、耳からの情報収集という選択肢が増えたと思って、得手不得手に合わせて使い分けるといいんじゃないかと思います。
美しい日本語のシャワーを子どもたちに
──AI技術の発達で、機械音とは思えない美しいアナウンスをあちらこちらで耳にする機会が増えました。それでも堀井さんが「人の声には何ものにも代えがたい魅力がある」とおっしゃる理由を教えてください。
堀井 人間の声や感情を模倣できるAI技術はかなり進んでいますが、それでも機械にはまだ「聴き手に寄り添う」ことはできません。それは「人の声」だけがなし得ることだと思います。
私は、人の気持ちや体温を伝える「人の声」は、子どもの心の成長にも大きな意味があると思っていて。音読の教育効果はずっと言われていますが、音読によって耳から得た言葉を、体の中に染み込ませることが大事なのだそうです。
なので、自分が読み聞かせをする時には新美南吉の作品などを選んだりします。よく知られている『手袋を買いに』のなかには、「眼を抑えている子供の手を恐る恐るとりのけて」「雪の粉が、しぶきのように飛び散って小さい虹がすっと映る」など、子どもが一回聴いただけでは理解できないけれども、美しい日本語がたくさん出てきます。そういう言葉を繰り返し聴くことで、子どもの言語感覚は豊かに伸びていくと思うんです。
お母さん一人が毎日読み聞かせをしたり、日常生活で意識して美しい日本語を話すようにしたりするのは限界がありますから、「人の声」が聴けるAudibleを賢く活用して、子どもが小さいうちにいい文章のシャワーを浴びせ続けたいですね。
──12月には自身のご著書『一旦、退社。~50歳からの独立日記』(大和書房)がAudibleでオーディオブック化することが決まっているそうですね。自著をご自分で読むことへの意気込みと、Audibleに期待することを教えてください。
堀井 「書いた人が読む」ことは大きな意味があると思っているので、しっかり役目を果たしたいです。
昔、向田邦子さんがご自身のエッセイを語る音源を聞いたことがあるのですが、すごく伝わるんです。たとえば、岩手県の遠野で、おばあちゃんが話す民話なんかも、めちゃくちゃぐっとくるじゃないですか。あんなふうに、世の中には確固たるパーソナリティをお持ちの方がたくさんいらっしゃいますので、たとえ滑舌が悪くても、自分の声で自分の言葉を語るタイトルが増えたらいいなと思います。
AIとはまさに真逆ですけれど(笑)。
あとは、ジェーン・スーさんの『きれいになりたい気がしてきた』の本人バージョンも、絶対面白いと思う。将来スーさんバージョンもぜひ、タイトルに加えてほしいです。
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堀井美香(ほりい・みか)
1972年秋田県生まれ。フリーアナウンサー。法政大学法学部を卒業後、95年にTBS入社。2022年からフリーに。現在も多数の番組でナレーションを担当。「yomibasho PROJECT」として朗読会も主催。現在は人気ポッドキャスト「OVER THE SUN」のパーソナリティとしても活躍中。著書に『一旦、退社。~50歳からの独立日記』(大和書房)、『音読教室』(カンゼン)などがある。
2023.09.15(金)
文=相澤洋美
写真=佐藤 亘