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神々との“ご縁”を結ぶ至福のひととき

 柏手を打ち、手を合わせて一心に祈る。その光景は、時代を超えて変わることのない日本の原風景。神話の面影が息づく出雲では、その美しい世界に出会える。

 「パン、パン、パン、パン」。早朝から出雲大社の境内には4拍手の音が響く。大社ではいにしえより、例大祭でのみ行われ、無限を意味する8拍手を正式とし、神を讃えてきた。

 そして日常の参拝では、その半分の4拍手を正式としている。

 神代の昔、大国主大神(大国さま)による“国譲り”に感謝して天照大御神がこの地に創建した出雲大社。天照大御神との約束により、大国主大神は“むすび”の霊力を司ることとなり、“縁結び”の神様として今日まで親しまれている。

 男女の縁はもちろん、私たちを取り巻くあらゆる“ご縁”を結ぶことから、毎年約200万人もの人々が訪れ、御本殿を中心とした神域は清らかな気に溢れる。

 古代御本殿心御柱をはじめとした史料を収蔵する宝物殿で太古の祈りへと思いを馳せるのも、至福のひとときだ。

出雲大社

[出雲・大社町]
約18万平米の広大な境内に、大国主大神を祀る御本殿と、由縁の深い神々を祭神とする社殿が並ぶ出雲大社。日本最古の神社建築様式“大社造り”の御本殿は、1744年に造営されたもので、国宝に指定されている。また、宝物殿には、48メートルもの高さを誇ったともいわれる古代神殿の心御柱や様々な伝世品を収蔵。神世の時代から守り継がれる祈りの世界に触れることができる。

所在地 島根県出雲市大社町杵築東195
電話番号 0853-53-3100
営業時間 6時~19時(宝物殿 8:30~16:00、素鵞社 6:00~16:30)
入場料 300円(宝物殿)
交通 一畑電車 出雲大社前駅から徒歩約5分、JR出雲市駅からバス約25分
https://izumooyashiro.or.jp/

2023.09.16(土)
文=矢野詔次郎
撮影=鈴木七絵
協力=島根県観光連盟

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※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

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