#3 接触ホルモン、オキシトシンが表皮再生を促進する?
「幸せホルモン」のひとつにして、親子やペットとの触れ合いからも分泌される「接触ホルモン」オキシトシン。資生堂の研究で、実際に触れ合い後の肌からも生成されることがわかってきた。しかも肌由来オキシトシン、肌で分泌されることで、その表皮の再生を促すこともわかってきたのだ。それも、軽い刺激を与えた肌を観察することで証明された事実。
つまり他者との触れ合いによってはもちろん、お手入れやマッサージでもオキシトシンが分泌され、それ自体が肌を若く美しくすることが実証されたのだ。出産による激痛を軽減するためにも分泌されるオキシトシン、いわば子のための愛で生まれる「愛情ホルモン」を、自給自足でもたらす美容もありということ。
![資生堂とマサチューセッツ総合病院皮膚科学研究所(CBRC)との共同研究より。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/f/8/1280wm/img_f8cf8076780d9a08127bb96fdf19c6a836740.jpg)
![資生堂とマサチューセッツ総合病院皮膚科学研究所(CBRC)との共同研究より。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/3/5/1280wm/img_35e59b75fe8a2904f47806e9e2d7551642962.jpg)
資生堂はオキシトシンが脳内の神経分泌細胞だけでなく表皮でも合成されることを発見。A肌に軽い刺激を与えると、肌由来のオキシトシンの分泌量が増加することが明らかに。B肌に軽い刺激を与えると、表皮再生の指標となる成分が増加していることがわかり、肌由来オキシトシンが表皮の再生を促すことが判明。
#4 罪深き毒母フェロモン?
![井上真央主演のドラマ『明日の約束』(2017)で“毒母”を演じた仲間由紀恵。不可解な死を遂げた男子生徒の母親は、息子を愛しすぎて異常なプレッシャーを与え続けた存在だった。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/a/9/1280wm/img_a9a58ff16f831cbab79c31010d3772c596844.jpg)
十数年前、誰かが「私の母は毒親」と言い出すと、堰を切ったようにMe Too状態。その頃から“毒母ドラマ”も目立つようになるが、汚れ役とも言えるのに、演じるのはみな正統派美人。個性的な怖い顔の女優はいない。
![湊かなえの原作を映画化した『母性』(2022)。ある未解決事件の顛末を、娘を愛せない母・戸田恵梨香と母に愛されたい娘・永野芽郁それぞれの視点から振り返るミステリー。『母性』DVD通常版 4,180円/エイベックス・ピクチャーズ ©2022 映画「母性」製作委員会](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/e/5/1280wm/img_e5aac3a806a4a3671ab5106c3c1032d6164782.jpg)
実は昭和にも三浦綾子原作の『氷点』がTVドラマとして圧倒的な人気を誇ったが、娘をいじめ抜くのは楚々とした美人、新珠三千代。平成の『誰も知らない』のネグレクト母はYOU。記憶に新しい仲間由紀恵、長澤まさみ、そして戸田恵梨香……毒母は冷淡で自己チューで120%女だから、そのギャップにこそ毒母特有のフェロモンが宿ると考えるキャスティングなのだろう。
![実際の事件をモデルとする映画『MOTHER マザー』(2020)。長澤まさみ演じるシングルマザーが、息子を歪んだ愛で支配し、殺人事件に向かわせる。『MOTHER マザー』 DVD 4,290円/Happinet ©2020「MOTHER」製作委員会](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/4/c/1280wm/img_4cf20f7bdf34b7b594d0eea0c8fd89fd173329.jpg)
なぜか毒母が魅力的に見える、そういう意図を感じるが、それこそ誰も憧れないけど、なんだか気になる毒母という罪深き女の定義なのかもしれない。
2023.09.23(土)
文=齋藤 薫(美容ジャーナリスト)
Photographs=Jiji Press, Jiji Press Photo
CREA 2023年夏号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。