「母性」とは、女性だけのものではないと判明してきているけれど、優しさや包容力は、どうしても「母性」と括られがち。いっそこれを逆手にとって、人が「母性」を感じるメカニズムを利用してみよう。


#1 だから聖母顔はモテまくる

 小学校でも高校でも職場でも、絶対にモテまくる“顔だち”ってある。“美形はモテる”という、当たり前の法則とは別の軸。だから女子は気づきにくいのだが、男子はみんなその顔が好き。明らかな共通点を持つ“ある種の顔立ち”が。それはふんわりした、まろやかな目鼻立ち。卵形の顔に穏やかな印象のパーツ、目元も口元もいつもわずかに微笑んでいる。

 またそれらの配置は端正だが、人を威圧しないから、優しい人柄までが表現されている。例えば、誰? と言えば、石田ゆり子、有村架純、井川遥もそのカテゴリーに入ってくるが、言うならばそれは「聖母顔」。そのまま赤ちゃんを抱っこすると、聖母マリアの面立ちに見える。単に美人だからじゃない、聖母の顔だから、慈愛に満ちた顔だから、年齢を超えて人を惹きつけるのである。

#2 赤ちゃんの香りに秘められた力

 赤ちゃん用の香水がある? と言っても、むしろ大人が赤ちゃんの匂いに本能的に惹かれ、それを赤ちゃんが母親の匂いと思って求めるから、通常“親子で纏える香り”となっている。ちなみに、一般的に赤ちゃんの匂いのもととされるのは、「ノナナール」というアルデヒドの一種で、花々や果実の香り。調香において清潔感のもととしてシャネルNo.5にも使われたが、これが生まれたての赤ちゃんの頭の匂いとも言われる脂肪臭なのだ。

 加えてミルクやベビーパウダー、お菓子の香りも、赤ちゃんの匂いの再現によく使われる。懐かしさが呼び起こすものもあるのだろう。どちらにせよ、意識下で求める匂いだけに、深い癒しと安心感につながるのだ。ルームフレグランス代わりにリラクゼーションに使っても面白い。

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モルトンブラウン

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2023.09.23(土)
文=齋藤 薫(美容ジャーナリスト)
Photographs=Jiji Press, Jiji Press Photo

CREA 2023年夏号
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この記事の掲載号

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CREAで10年ぶりの「母」特集。女性たちにとって「母になる」ことがもはや当たり前の選択肢ではなくなった日本の社会状況。政府が少子化対策を謳う一方で、なぜ出生数は減る一方なのか? この10年間で女性たちの意識、社会はどう変わったのか? 「母」となった女性、「母」とならなかった女性がいま考えることは? 徹底的に「母」について考えた一冊です。イモトアヤコさん、コムアイさん、pecoさんなど話題の方たちも登場。