憧れのブルートレインで夢の旅

 世界屈指のサービスと豪華さで、“走る5つ星ホテル”とも呼ばれているのが、ブルートレイン。ケープタウンから首都プレトリアまでの約1600kmを、1泊2日、約27時間かけて移動する。

迫力ある南アフリカの大地を移動する豪華列車。ブルートレインという名前はヨーロッパの王室が好むロイヤルブルーに由来したものだという(写真提供/The Blue Train)

 優雅な旅は、出発前からすでに始まっている。乗車駅には専用の玄関があり、ポーターに荷物を預けてチェックインする。待合室となるラウンジで、旅人たちがシャンパンを片手に話に花を咲かせる様子は高級ホテルさながら。乗車時間になると、案内係が部屋まで案内してくれる。

 客車は全室スイートのコンパートメントタイプで、トイレとシャワーまたはバスタブ、電話などを完備。滞在中は、専任のバトラーが身の回りの世話をしてくれる。乗客が日中の多くを過ごすのが、ラウンジカーだ。アフタヌーンティーを楽しんだり、スパークリングワインを飲みながら歓談したりと、それぞれが思い思いに時間を過ごす。バーでは、ワインやビールを楽しみながら贅沢な時間を。基本的に、食事やルームサービスなど全てのサービスが運賃に含まれているので、そのつど支払いをする煩わしさもない。

左:読書をしたり、お茶を飲んだりと、旅行者が憩いの時間を過ごすラウンジカー(写真提供/The Blue Train)
右:全室にシャワールームを完備(写真提供/The Blue Train)

 ブルートレインではホテルや高級レストランと同様、ディナーでは男性はネクタイ着用、女性はエレガンスウエアのドレスコードが定められている。お洒落をして食事に出かける時間もゲストにとっては非日常、旅の大切な要素だ。華やかな雰囲気の中で運ばれる料理は、南アフリカでとれた食材を使ったものがメイン。もちろん、合わせるワインも南アフリカ産だ。

左:専用車で楽しむ食事は、ランチとディナーともに2交代制(写真提供/The Blue Train)
右:ルームサービスも充実(写真提供/The Blue Train)

 プレトリアやヨハネスブルグなど大都会を過ぎて間もなくすれば、草原にはダチョウや象など野生動物の姿が。ワイナリーのブドウ畑やテーブルマウンテンなどの山々にも迎えられる。日中は流れる景色を眺めながらゆったりと時を過ごし、夜は満天の星を眺めながら眠りにつく。そんな贅沢な時間が過ごせるのも、列車という外界から隔離された空間だからこそ。こんな旅は、ブルートレインでしか体験することができない。

ゲストルームから流れる景色を眺めて過ごす優雅な時間(写真提供/The Blue Train)

The Blue Train
電話番号 +27-12-334-8459
URL http://www.bluetrain.co.za/

芹澤和美 (せりざわ かずみ)
アジアやオセアニア、中米を中心に、ネイティブの暮らしやカルチャー、ホテルなどを取材。ここ数年は、マカオからのレポートをラジオやテレビなどで発信中。漫画家の花津ハナヨ氏によるトラベルコミック『噂のマカオで女磨き』(文藝春秋)では、花津氏とマカオを歩き、女性視点のマカオをコーディネイト。著書に『マカオノスタルジック紀行』(双葉社)。
オフィシャルサイト http://www.serizawa.cn/

Column

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2013.12.29(日)