この記事の連載
1981年、尾山台に誕生したオーボンヴュータン。以来、実に40年以上にわたり、伝統的なフランス菓子を作りつづけています。
唯一無二のおいしさと、ひとつひとつのお菓子が持つストーリー。79歳の今日も元気に厨房に立つ河田勝彦シェフが語るフランス伝統の焼き菓子のおいしさとは?
【毎日オーボンヴュータン】でお会いしましょう!
#64 パン・コンプレ(PAIN COMPLET)

パン・コンプレといえば、全粒粉を使ったパンのこと。しばしば丸い形に焼き上げられ、その見た目に似せて作られたのがこのお菓子で、「タルト・オランデーズ」(オランダ風タルト)とも呼ばれます。
「僕がパリで働いていた頃は、いくつかのお店で見かけたけれど、今はあまり作られなくなってしまいましたね」と、河田シェフ。
構成はシンプルで、薄くのばしたパイ生地でアーモンドクリームをたっぷり包んだ後、砂糖やアーモンド、卵白を合わせたマカロン生地を表面に塗り、粉糖をふってから十字の切りこみを入れて焼き上げます。
表面がカリッ、ザクッとしているのに対し、中はやわらかく火が入るのでしっとり、ふっくら。そのコントラストがクセになります。
河田勝彦(かわた かつひこ)さん
1944年東京生まれ。まだ菓子職人がフランスに渡ることが少なかった時代に、8年間フランス各地で修業を積む。1981年に「オーボンヴュータン」を開店。古き良きフランスの伝統を貫き、骨太な菓子で日本のフランス菓子界を牽引し続ける存在だ。
AU BON VIEUX TEMP(オーボンヴュータン)
所在地 東京都世田谷区等々力2-1-3
電話番号 03-3703-8428
営業時間 10:00~17:00
定休日 火・水曜
https://aubonvieuxtemps.jp/
※ラインナップ、価格等は2022年取材当時のものです。

2023.09.16(土)
文=瀬戸理恵子
撮影=合田昌弘