この記事の連載

 1981年、尾山台に誕生したオーボンヴュータン。以来、実に40年以上にわたり、伝統的なフランス菓子を作りつづけています。

 唯一無二のおいしさと、ひとつひとつのお菓子が持つストーリー。79歳の今日も元気に厨房に立つ河田勝彦シェフが語るフランス伝統の焼き菓子のおいしさとは?

 【毎日オーボンヴュータン】でお会いしましょう!


#62 ガトー・ピレネー(GATEAU PYRENEES)

 ゴツゴツとした無骨な表情を見せる、フランス南西部のピレネー山脈周辺に伝わる郷土菓子。

 バウムクーヘンのように芯棒をくるくると回しながら火にかけ、生地を少しずつかけて焼き上げることで、年輪のような層が生まれます。

 「実物が見たくてタルブの町を何度か訪れて、町中探し回ってようやく見つけたときは、うれしかったぁ!」と、河田シェフ。

 さまざまな生地を試した結果、一番おいしかったというのが、19世紀の菓子職人、ユルバン・デュボワのレシピ。この卵の香りあふれる素朴な生地に、アレンジとしてオレンジの皮のコンフィを加えてさわやかな風味をプラスしています。

 端がカリッとして、中はホクッ、ところによりしっとりした食感も魅力的。

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河田勝彦(かわた かつひこ)さん

1944年東京生まれ。まだ菓子職人がフランスに渡ることが少なかった時代に、8年間フランス各地で修業を積む。1981年に「オーボンヴュータン」を開店。古き良きフランスの伝統を貫き、骨太な菓子で日本のフランス菓子界を牽引し続ける存在だ。

AU BON VIEUX TEMP(オーボンヴュータン)

所在地 東京都世田谷区等々力2-1-3
電話番号 03-3703-8428
営業時間 10:00~17:00
定休日 火・水曜
https://aubonvieuxtemps.jp/

※ラインナップ、価格等は2022年取材当時のものです。

次の話を読む【毎日オーボンヴュータン #63】 アルザス伝統の郷土菓子「クグロフ・トラディショナル」はお酒にも合う

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2023.09.14(木)
文=瀬戸理恵子
撮影=合田昌弘