散歩、いいですよ。
──散歩をするようになったのも、奥様の提案ですか?
遠藤 あれはコロナ禍の影響が大きいですね。コロナ禍で巣ごもりになった時に、運動不足解消のために、女房とあちこちを散歩するようになりました。楽しいし、新鮮な気分になるので、散歩、いいですよ。
最近は東京駅や上野駅のあたりを女房とふたりでよく歩いています。東京駅なんて、コロナ以前は地方に行くためのただの通過点だったのに、いまは女房とふたりわざわざ電車で東京駅まで行って、そこから散歩してますからね。
上野もわざわざ電車で行って、不忍池のまわりをぐるっと散歩して、帰りに美術館に寄ったりしています。先日は、散歩の帰りに、東京都美術館でマティス展を観てきました。アートも俳優も、ものづくりという点ではおなじものがあると思っているので、美術館に行くと刺激がもらえて楽しいです。
──ピンボケの遠藤さんが、スイーツやお花を「はい、どうぞ」と差し出している写真投稿も大人気です。あれも奥様のアイデアですか?
遠藤 はい、あれも、もともとは女房の発案です。スイーツ持って写真撮ろうと言われた時に、ちょうど寝起きだったんですよ、俺。寝グセもひどいし、寝起きだから写真はイヤだって言ったら、女房から「顔、ボカすからいいでしょ」と言われて。それならいいかと承諾したら意外に好評だったので、なんだ、顔出さないほうがいいのか、と(笑)。
だから、わざとピントを外して撮影することも考えているんですけど、結局投稿しているピンボケ写真は、本当に寝起きで顔がむくんでいるか、ひどい寝グセがついてるかのどっちかになってます(笑)。
──スイーツ投稿も人気ですが、甘いものはもともとお好きだったんですか?
遠藤 たまには食べていましたけど、基本的には好きじゃなかったんです。とくに、絶対無理だと思っていたのが最中。皮が口にくっつくし、甘いし「絶対おいしいはずない」と、差し入れでいただいても、まったく手をつけませんでした。
でも、お酒をやめたら、ケーキとかチョコとか甘いものが食べたくなったんですよね。それである時差し入れでいただいた最中も挑戦してみようと思って試しに食べたら、これがすんげえうまくて。「うめえじゃん……!」って感動して、最中大好きになっちゃった(笑)。いまは、和洋問わず、甘いものなんでも食べます。
──お酒をやめたのは、なにかきっかけがあったのですか?
遠藤 飲み過ぎて女房に怒られたからです……。もう一生分どころか、来世の分まで飲んだから、もういいだろうと思って、5~6年前にきっぱりやめました。
それまでは毎日飲んでいたので、365日二日酔いみたいな状態だったんですよ。だんだん歳も取ってきているので、自分の身体のことも考えないといけないと思って、女房に言われるまま断酒したら、万年二日酔い状態から解放されて、思考がクリアになりました。
2023.07.19(水)
文=相澤洋美
撮影=志水 隆