ものづくりへの情熱がよみがえってきた
──健康面以外の“断酒効果”も感じますか?
遠藤 面白いことに、思考がクリアになったら、若い頃のものづくりへの情熱がよみがえってきました。20代前半は、絵を描いたり映画を撮ったり、舞台演出に関わったり、いろいろなものづくりに挑戦していたこともあったんです。4畳半のアパートで100号の油絵を描いて、日展に出品したこともありました。紙粘土を固めたものに絵を描いてアート作品として公募展に出品しようとバイクで搬入したところ、展示会場についたら真っ二つに割れていて叫んだりとか、もうめちゃくちゃでしたけど、ものづくりに対するすごい情熱があったんです。
そういう情熱が戻ってきたので、じゃあいま、自分が本当に観たいものをつくってみようと思って、数年前から脚本を書くことに挑戦しています。
──どのような内容のお芝居なのでしょうか。
遠藤 テレビドラマです。演じるのとつくりだすのはまた違う筋肉を使うので、自分が演じる・演じないにかかわらず、作品として仕上がったときに、自分が本当に観たいもの、心から面白いと感じるものをどこまでつくっていけるかを考えながら、少しずつ書き進めています。
母から娘へと時代を経て続く大家族の物語で、連ドラにしようと思って、いま5話目まで書き上げました。あと3話書いたら1クール分でき上がるので、どこかで採用してもらえたらなあと。ポンポン書けるものじゃありませんが、来年くらいには書き上げたいと思って、コツコツ書き続けています。
──俳優、インフルエンサー、ナレーター、脚本家とますますご活躍の幅が広がりますね。この先、挑戦したいことはありますか?
遠藤 先日誕生日がきて62歳になったので、残りの人生で時間が足りるのか考えると、散歩と、美術館に行くのと、読書と音楽を聴く時間のほかに、脚本を書いて、仕事して、それでかなりいっぱいいっぱいなんですよね。だからあとはあまり欲張らず、女房に気を遣って女房孝行していきたいと思います。
ヘアメイク:村上まどか
スタイリスト:中本コーソー
●衣装クレジット
ジャケット/ベスト suzuki takayuki
(問い合わせ先 107-0062 東京都港区南青山5-12-28 メゾン南青山602 03-5846-9114)
その他stylist私物。
2023.07.19(水)
文=相澤洋美
撮影=志水 隆