着目してほしいシーンは…
――ストーリーの肝となるのはどのあたりでしょうか。
堀田 美也子が父・清史郎に対し、感情を爆発させて家を飛び出していくシーンは、内向的な美也子が、漆のせいでバラバラになった家族の気持ちを、自らの挑戦で変えていこうと決意する重要なシーンです。あのシーンの前と後で、私なりに言葉への向き合い方を変えているので、映画ではそこにも着目していただけたらうれしいです。
――映画が完成して、堀田さんご自身の変化もありましたか?
堀田 撮影が終わって東京に戻る前に、津軽塗の箸を自分用に買ってきました。いま毎日それでご飯を食べているのですが、1膳の箸でも、職人さんがひたむきに情熱を注いでつくってくれたことに感謝しながら食事をしています。あたりまえに使っている日用品も誰かがつくってくれているんだと思ったら、これまで以上にご飯がおいしくなりました。
――映画を観た方も、きっと津軽塗への見方が変わりますね。
堀田 そう思います。津軽塗は、完成品の見た目の美しさも楽しめますが、制作過程の「シュッ、シュッ」という音も心地よくて、耳からも幸せな気持ちになれる漆器です。台本を読んだ時は、セリフがないシーンが延々と続くので心配な部分もありました。でも、できあがった映像を見たら、ずっと「シュッ、シュッ」という音だけでいいんじゃないかと思えるほどでした。
1回目は目をつむって観ていただき、2回目は目を開けて映像とともに楽しむなど、何度も楽しめる映画だと思います。映画館で観ていただけたら、とてもうれしいです。
堀田真由/青木美也子 役
1998年生まれ、滋賀県出身。
2015年WOWOW「テミスの求刑」でデビュー。その後、2016年NHK連続テレビ小説「わろてんか」で注目を集め、ドラマ「3年A組 ―今から皆さんは、人質です―」(19/NTV)、映画『かぐや様は告らせたい ~天才たちの恋愛頭脳戦~』(21/河合勇人監督)シリーズなどの人気作品に多数出演。2022年には「鎌倉殿の13人」比奈役でNHK大河ドラマ初出演を果たした。2023年以降もドラマ10「大奥」(NHK)で3代将軍・徳川家光や、フジテレビ月9「風間公親-教場0-」など話題作への出演が続く。
映画『バカ塗りの娘』
9月1日(金)
シネスイッチ銀座ほか全国公開
8月25日(金)青森県先行公開
配給:ハピネットファントム・スタジオ
(C)2023「バカ塗りの娘」製作委員会
https://happinet-phantom.com/bakanuri-movie/
■衣装クレジット:
ワンピース 64,900円/ミュラー オブ ヨシオクボ(ミュラー オブ ヨシオクボ)
リング 34,100円/クリティカルラボ(ピーアールワン トーキョー)
シューズ/スタイリスト私物
価格は全て税込表記です。
2023.08.30(水)
文=相澤洋美
撮影=杉山拓也
スタイリスト=小林 新(UM)
ヘアメイク=小笹 博美