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アップルパイのおいしさをクレープに閉じ込めて

 パティスリー「CALVA」で販売され、人気を集める「アップルパイ」をクレープにしたというのが、スペシャリテとなる「クレープ CALVA」です。カルヴァ(CALVA)という名前は、田中さんが修業したフランス・ノルマンディーが産地として知られる、リンゴのブランデーであるカルヴァドス(CALVADOS)の略称から。

 「東京プリンスホテル」、吉祥寺「アテスウェイ」、フランス・ルーアン「ジュリアン」と、働いたお店すべてで最初に覚えたのが偶然にもリンゴのお菓子で、特にアップルパイには思い入れが深いという田中さん。パティスリーと同じく、クレープでもリンゴを使ったスペシャリテを作りたいと、このひと品を考案したそうです。

 薄く焼いて無塩バターを塗った生地にのせるのは、コクのあるカスタードクリーム、砕いたパイ、青森県五戸の中村農園から届けられるリンゴのソテー。シナモンパウダーとグラニュー糖をふりかけ、ソースキャラメルを筋状に絞って折り畳みます。その味わいは、まさに温かいアップルパイ! 口の中で香ばしいパイがサクサクと音を立て、甘酸っぱくてジューシーなリンゴとカスタードクリームの卵の風味、キャラメルソースの苦みが混じり合い、メリハリのあるハーモニーが楽しめます。

贅沢すぎる! ボンボンのガナッシュ入りクレープも

 北鎌倉にショコラトリーも構え、チョコレートを得意とする田中さんといえば、「クレープショコラ」もはずせません。薄く焼いて無塩バターを塗り、グラニュー糖をふった生地に散りばめられるのは、お店で販売されているボンボン・ショコラに使われるのとまったく同じ上質なガナッシュ! ガナッシュの味わいはミルク、ハイカカオ、マカダミアナッツ、ユズ、プラリネなど毎日変わり、どの味に出合えるかはその日のお楽しみ。

 熱々のクレープでガナッシュがとろりととろけたところもよし、溶けずに食感が残って口の中でゆっくり溶けていくところもよし、食べたところによって変わるガナッシュの表情も楽しくて、広がる香りと豊かな味わいにうっとりしてしまいます。

2023.06.21(水)
文=瀬戸理恵子
撮影=釜谷洋史