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 「文春オンライン」の好きな芸人ランキング企画で2年連続で第1位に輝いたニューヨーク。漫才、コントの両方で毒と偏見に満ちた笑いを展開し、その実力は、ファンはもちろん芸人仲間からも高い評価を得ています。

 テレビ、ラジオ、さらには公式YouTubeチャンネルで幅広い層からの人気を集める一方、2022年に「M−1グランプリ」などの賞レースには不参加を表明したことも話題を集めました。

 そのぶん力を注ぐのが、毎年開催している単独ライブです。昨年には5,500人動員単独ライブが大盛況を見せましたが、今年は規模を倍に。全国5都市の会場で1万人の動員を目指します。

 100%のニューヨークをぶつける単独ライブにかける二人の想いとは。

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「もっと大きな野望に向かってるから、賞レースには戻りたくない」

 

――最近ではバラエティ番組のメインMCを務めるなどテレビでの露出も増えていますよね。2年連続ランキング1位になった文春オンラインの「好きな芸人」アンケートでは女性からの得票も目立ちましたが、やはりテレビの影響でしょうか。

屋敷裕政(以下、屋敷) いや、どちらかというとYouTubeですかね。僕らコロナ期間中に毎日生配信やったりしていたんで、それが転機になったところはあります。

嶋佐和也(以下、嶋佐) 「テレビ観てます」っていう人より「YouTube観てます」って言ってくれる人のほうが多いですからね。

 

――テレビとYouTubeでは発信のスタイルが違ったりしますか?

屋敷 そんなには意識してないですけど、テレビは役割がありますからね。MCやったら、ゲストの人にどう話を聞くとか。その点、YouTubeはほとんど何も考えてないですね。ゲストとのトークにしても、「ここをこうやって掘ったら盛り上がるかな」とかほぼ考えず、ほんまに自然体で喋ってます。

――「M-1グランプリ」、「キング・オブ・コント」と連続して決勝進出を果たしたことも、ニューヨークが広く知られるきっかけになったと思うのですが、昨年は賞レース不参加を表明されました。もう賞レースには興味がない?

屋敷 興味がないというか、今はいろいろ考えがあって参加しないことにしたんです。ただ、「今年は……?」みたいに聞かれることが多くて、僕ら的にはびっくりしてます。本当の意味でまだ卒業できてないんやなって。

嶋佐 芸人仲間から「また賞レースでニューヨークのネタが観たい」みたいなことを言われるのは嬉しいですけど、僕らとしてはもう、全然出たくないですね。

 

――全くですか!?

嶋佐 もう賞レースには戻りたくない、もっと次のステップに行きたいって感じですか。それこそもっと大きな野望に向かってるので、あそこには戻りたくないです、全然。審査とかされたくねぇし、って(笑)。

屋敷 そういうことで言うと、僕らの野望は賞とかではなく、やっぱり単独ライブですよね。音楽のライブってとんでもない人数を動員できますけど、芸人のライブってなかなかそうはいかないじゃないですか。さらば(青春の光)さんなんて2万人とか集めてたりしますけど、そういうのは滅多にないことで。もっとお笑いの単独ライブが文化として広まっていったらいいなと思いますし、自分たちでもそこに野望がありますね。

2023.05.30(火)
文=張替裕子(ジラフ)
写真=杉山秀樹