この記事の連載

僕が大切にしている“指針”はこの2つ

 どれだけうまいことやったとしても、やっぱり心根ってバレると思います。そういったものがどんどん可視化とまではいわないけど透けてくるようになってきている時代だと感じますし、そのうえで楽しむ方も安心して信じたいでしょうし。そうした世の中の流れは僕も感じていて、「自分は胸を張って『観て下さい』と言える作品を作る」、そのうえで「自分の言葉に責任を持つ」というのはわかりやすい指針です。

――ただ、俳優が生きている時間ってまたちょっと特殊だとも思うんです。『宇宙人のあいつ』も去年撮影したものが今年公開になるわけで、タイムラグは常に生じますよね。そうすると「誠実」のスパンも広がっていくのかな? と感じます。

 でもやっぱり、1年前、2年前に作ったものでも根っこにあるものはそう変わらないんです。それこそ「誠実である」という想い自体は一貫しているから。例えばコロナのようによっぽど世の中や価値観をガラッと変えてしまうものが出てきたら別だとは思いますが、それはそれでかつての日常が非日常化して「またあんな日々に戻れたらいいね」と違う価値を持つようにもなりますよね。

 そういった感じで、時を経てもそう変わるもんじゃないし、変わるような要因があったとしても、違う意味を持っていく。自分の中で何かが変わっても「この時はそう思っていた」というのは事実だから、嘘じゃない。

――取材時ってどうしても数年前の「その時の気持ち」を伺うような酷なものもあるじゃないですか。中村さんの中では、その瞬間に感じたことをパッキングして残しておいて、取材時に開封するような感覚なのでしょうか。

 それはありますね。そこから時を経てプラスアルファを重ねられるエピソードもあるかもしれないし、もっと深く伝えられる価値観が生まれているかもしれない。そういったものを上に載せて、話しています。(中村さんのコメントの続きは後篇へ

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中村倫也(なかむら・ともや)

1986年12月24日生まれ。東京都出身。2005年俳優デビュー。近年では、ドラマ『石子と羽男-そんなコトで訴えます?』、『仮面ライダー BLACK SUN』などに出演。現在「ザ・バックヤード 知の迷宮の裏側探訪」(NHK Eテレ/ナレーション)が放送中。待機作にドラマ『ハヤブサ消防団』(2023年7月)などがある。

映画『宇宙人のあいつ』

2023年5月19日(金)全国ロードショー

出演:中村倫也 伊藤沙莉 日村勇紀(バナナマン) 柄本時生 関めぐみ
千野珠琴 細田善彦 平田貴之 山中聡 井上和香 設楽統 山里亮太
監督:飯塚健
配給:ハピネットファントム・スタジオ
©映画「宇宙人のあいつ」製作委員会
https://happinet-phantom.com/uchujin/

衣装クレジット

プリントジャケット 48,000円、シャツ 53,000円、パンツ 48,000円全てyoshiokubo(yoshiokubo/03-3794-4037)

次の話を読む中村倫也の徹底自己分析【後篇】 “飽き性で好奇心が移り変わりがち” な僕が「宇宙人」になるまでの話

2023.05.20(土)
文=SYO
撮影=榎本麻美
ヘアメイク=Emiy(エミー)
スタイリスト=戸倉祥仁(holy.)