この記事の連載

 英国ブランド「マーガレット・ハウエル」と、日本のジーンズメーカー「EDWIN」とのコラボレーションアイテムが誕生してから今年で20年。

 前回のマーガレット・ハウエルさんのジーンズにまつわるインタビューに続き、今回はコラボレーションの初期からこのプロジェクトに携わるEDWINの小林正和さんに、メーカー側の想いについてお話しいただきました。

 「この先20年もこのコラボレーションを続けていきたい」とマーガレットさんご本人に言わしめるほど絶大な信頼を得た、「EDWIN」の真摯なものづくりへの姿勢がうかがえます。


テーラードとワークウェア、文化の違いの融合

――“EDWIN FOR MARGARET HOWELL”を作る上でのコンセプトはありますか?

 基本的にはマーガレット・ハウエルのブランドコンセプトに寄り添う形で、ジーンズをどうフィットさせていくかを念頭に置いています。オーセンティックなものにこだわりがあるマーガレット・ハウエルに対し、僕らもジーンズメーカーとして一番オーセンティックなものをご提案するというところからスタートしています。

――20年前、コラボレーションアイテムが初めて世に出た時の周囲の反応は覚えていらっしゃいますか?

 正直にいうと我々のエッセンスにはないものに仕上がりました(笑)。ジーンズであることは変わりないのですが、デザイン、フィット感、仕様、生地の使い方……、我々の中ではすごく新しく、すごくセンセーショナルで。なにより合わせる服がそれまでのジーンズカジュアルとはまったく異なるお洋服たちであることが一番の驚きでした。「デニムの可能性がすごく広がるコラボレーションがスタートするのだな」と思ったことを記憶しております。

――コラボレーション誕生から現在まで、苦労されたことはありますか?

 毎回苦労の連続であり、それが楽しみでもあります(笑)。壁を乗り越えたあとに、毎回素晴らしいアイテムが誕生しています。

 テーラードという文化を持ったマーガレット・ハウエル、ワークウェアからスタートしたジーンズカジュアルのEDWINではまったく文化が違う。それは生地、縫製、加工はもちろん、ジーンズの世界では当たり前の洗いという行為がテーラードの世界にはなかったり。その異なる文化を融合させることを念頭に置いています。

 ジーンズ文化だけでもダメ、テーラーだけでもダメ。融合してより良い形になってこそのコラボレーションだと思っています。それを実現するために、生地選び、フィット感、縫製、洗いや仕様のそれぞれの工程で密にコミュニケーションをとっています。

2023.04.28(金)
文=天野真由美