この記事の連載

ジーンズメーカーとしての誇り

――他メーカーとは異なるEDWINならではの強みはどんなところだと思われますか?

 弊社は、国内に自社の縫製工場とクリーニング工場があります。自社でやる強みというのはEDWINという会社の文化を皆で共有できているわけです。自分たちの表現したいことがどうしたら実現できるのか、工場の人間と一緒に考え、いろんなことを教えてもらいながら、我々の表現したいことを具現化してもらえる。信頼できる職人が自社にいるというのはものすごい強みです。また、我が社別注のオリジナルの機械など設備が整っていることも、我々が表現したいものが実現しやすい環境となっています。

――20年続くコラボレーションで感じたマーガレット・ハウエルの魅力とは?

 変わらない新鮮さというのをすごく勉強させていただいています。ジーンズに本来備わっている機能をどう見せるか。リアリティとして在るべきディテールをしっかり残しつつ20年ずっと継続して鮮度を保ち続けるというアイテムへのこだわりと見せ方はとても勉強になります。

――“オーガニックコットンデニム”を用いたアイテムも登場していますが、環境への意識についてお聞かせください。

 EDWIN社としては、当たり前のことは当たり前にしていこうと。無駄は極力無くしていく。無駄になるということは、廃棄するものが多くなるということなので、できるだけ無駄をなくす。その一環として裁断クズの再利用、運搬する段ボールの廃止、洗い工場での水はきちっと元に戻して排水するというところまで徹底しています。とにかく無駄をなくす、現状復帰ということを意識しています。

――“EDWIN FOR MARGARET HOWELL”としての今後の展開やトピックスなどあれば教えてください。

 一存にEDWINだけが話せることではないですが、何かジーンズの可能性が広がるようなお取り組みが今後もつづいていけたら嬉しいですね。ジーンズがここまでテイラードの中に浸透することは20年前には考えられなかったこと。非常にありがたいですし、非常に貴重なお取り組みだと感謝しております。

――“EDWIN FOR MARGARET HOWELL”のファンに向けてメッセージをいただけますでしょうか?

 今回のインタビューだけでは語りきれない色々なこだわりが一つ一つの商品に詰まっています。僕らは毎シーズン新しい商品を世に出していますが“ぜひ大切に長年その商品をご愛用いただきたい”そういう想いで作っております。長く履いていても愛用できるよう、我々の縫製工場、我々の生地、マーガレットさんのこだわりを詰め込んだアイテムです。その想いも含めてサステナブルと思っていただければ嬉しいです。

――2月にローンチされた“EDWIN FOR MARGARET HOWELL”の新作について、それぞれ、こだわりの点を教えてください。

 マーガレットでブルゾンを作るのは過去何度かありましたが、20周年ということもあり上下セットアップで着られるブルゾンを作りました。ボックスシルエットのオーセンティックなデザインになっております。デニムジャケットってあまり作らない。EDWINのものづくりはジャケットよりもボトムがメイン。セットアップというのもあまり提案してこなかった中で、色も縫い方もミリ単位で合わせていくのはなかなか苦労しました。

 初代のペインターをリファインして現代版に置き換えるというコンセプトで誕生した20周年記念モデル。20年前のコラボスタート時に誕生したスラッシュポケットのペインターパンツは「ワークウェアなのにテーラードの世界に落とし込めるのか」という迷いと衝撃が走った、思い出深いアイテムです(笑)。我々としてはマーガレットさんといえばこのペインター。このようなアイコニックなアイテムがあるというのはすごく嬉しいです。

 これはマーガレット・ハウエルの真骨頂だと思うアイテム。ホワイトデニムなのに実は経(タテ)糸も緯(ヨコ)糸も染めています。通常のホワイトデニムは綿の生成り色をそのままに、白く色を抜くさらし工程を経て作るものなんです。マーガレット・ハウエルのホワイトは縦糸も横糸も染めて、それが組み合わさった独特な表情をホワイトデニムと表現するんです。

 初めて手がけた時は「ホワイトデニムなのになんで染めるんだろう」と僕には意味がわからなかった(笑)。ですが、実際にコレクションのアイテムに合わせると、マーガレットさんの表現したかった意味がわかりました。

EDWIN FOR MARGARET HOWELL 20TH ANNIVERSARY

https://www.margarethowell.jp/column/margarethowell-edwin-20th.html

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2023.04.28(金)
文=天野真由美