この記事の連載

 待ちに待ったハワイへの旅。行きたいところ、体験したいことがいっぱいあるなかで、ぜひネイバーアイランドにも出かけてみたい。

 のんびり昔ながらのハワイらしさを満喫するなら、断然ハワイ島=ビッグアイランドがおすすめだ。

 人はなぜハワイ島に魅せられるのか─その秘密を探しに、島で暮らす人々の家を訪ねてみた。注目の人・ファミリーを3回に渡りご紹介。


島の空気のなかで生まれる素敵なデザイン

◆デール・ホープさん(ウェスタンアロハ)/Dale Hope(WESTERN ALOHA)

 雄大な自然と穏やかな時間。それらに包まれる島の暮らしに憧れる人も多いだろう。アロハシャツのカリスマ的デザイナーであり、コレクターとしても知られるデール・ホープさんも最近、ハワイ島のワイメアに居を移した。緑に囲まれた小さな一軒家は、彼のシンプルなスタイルを体現している。

「ビッグアイランドに引っ越したのは、サーフィンがしたかったから。ここならいつでもすぐにできるからね」

 今もサーフィンに夢中のデールさん。若いころは、海が目の前のガレージで寝起きしたことも。そんな彼が2018年から手がけているのが“ウェスタンアロハ”だ。海のサーファーとは正反対に、丘で暮らすカウボーイが着るウェスタンシャツとアロハを融合させた、楽しいアイテムである。

「ハワイには19世紀にまで遡るカウボーイ文化があります。メキシコからやってきた彼らは、いつしかハワイアン・カウボーイ=パニオロと呼ばれるようになり、独自の文化をつくりました」

 パニオロたちは“パラカ”と呼ばれるシャツを愛用し、今やハワイ文化のひとつとしてお馴染みだ。

「デザインはアロハだけれども、布地はウェスタンシャツでとても丈夫。胸ポケット付きで着脱が楽なスナップボタン。都会でも着やすいでしょ」

 そして、人気の秘密は素敵なデザイン。そこにはデールさんの海への愛、ハワイへの想いが凝縮している。

「浮世絵がモチーフのもの、伝説のシェイパー(サーフボード職人)によるデザイン画をあしらったもの、魚柄……。様々ありますが、お気に入りは、小田まゆみさんとコラボしたものかな」

 国際的に活躍し“日本のマチス”とも賞賛されるアーティストを代表する作品“海”シリーズを一枚のシャツやドレスに仕立てたもので、そこに描かれた世界には、まさにデールさんが憧憬する古きポリネシアがある。

 さて、ウェスタンアロハのシャツや、ドレスは、ホノルルのセレクトショップ「ハウス・オブ・マナアップ」にて取り扱い。ぜひ手にしてみたい。

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2023.03.18(土)
文=矢野詔次郎
撮影=熊谷 晃、橋本 篤
コーディネート=宇都克仁

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※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

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