儚い、その一時の、ちょっとした界隈を形にしたかった。
――新作『プラトニック・ボディ・スクラム』は劇団をテーマにしています。ここも原点に帰るというようなところから決まったのでしょうか。
羽衣という劇団のスタイルは“妙ージカル”であるというのはハッキリしていて、そこから、愛とか、性とか、死とか、作品ごとに音楽アルバムのようにコンセプトが変わっていく、という感じなんです。
それで、今回は「劇団」というものをやってみようと。僕たちが劇団として頑張ってきた、2000年代、2010年代、僕たちだけじゃなく小劇場界にはいろんな人たちがいて、僕は勝手に(皆さんのことを)同士、恰好よく言えば戦友だと思っているところがあるんです。
その同士たちも齢を重ねながら、今でも舞台をやっていたり、活動の選択肢が広がっていったりとかある中で、突然コロナというものが登場して。
元々、小劇場演劇ってお金になりづらいし、危ういものだったんですが、それがコロナによって「パッと消えてしまってもおかしくない」というのをより強烈に、否応なしに感じさせられて。自分たちがやってきた演劇の危うさと終わっていく青春、その感覚を形にしたいと思ったんです。
儚い、その一時の、ちょっとした界隈。
――楽しみです。最後に初めて舞台を観る人、これまで羽衣を観てきたファンの皆さんに新作の意気込みをお願いします。
今回の作品は日常の生活の中で、一日空けて舞台を観に行く、そんな特別な時間を過ごすためのエンターテイメントに満ちた作品になっていると思います。その上で、ミュージカルとはちょっと違う、羽衣らしい、独特な味わいも感じられるはずです。
FUKAIPRODUCE羽衣
『プラトニック・ボディ・スクラム』
日時 2023年2月9日(木)~2月12日(日)
会場 本多劇場
所在地 東京都世田谷区北沢2-10-15
時間の詳細はHPをご確認ください
料金 前売/当日一般 5,000円、U-25(要証明) 2,500円、中学生以下(要証明) 1,000円
https://www.fukaiproduce-hagoromo.com/
2023.02.09(木)
文=CREA編集部
撮影=平松市聖